薬用植物園

季節の花

ミシマサイコ 2018.10

2018100101.jpg(平成30年10月5日撮影)

学名: Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag.
Syn. = Bupleurum scorzonerifolium auct. non Willd.
科名: セリ科 Apiaceae
別名: イッポンミシマサイコ
英名: bupleurum root
中国名: (北・南)柴胡
生薬名:

「柴胡(サイコ)」  使用部位:根

 東アジア温帯各地に分布する多年性植物です。国内では本州、四国、九州の日当たりの良い草地に自生しています。草丈は30~100㎝程で、当園では7~10月まで花を咲かせています。花は、多数の花が放射状についている散形花序が、さらに散形花序を作っている形を成します。これを複散形花序といい、同じセリ科の植物にこの特徴が見られます。葉はセリ科の植物には珍しく、切れ込みがありません。また冬になると根出葉だけを残し越冬します。

 日本では江戸時代から採集が行われていて、品質が良いことで有名でした。そのとき集荷していたのが静岡県の三島であったことから「三島柴胡(ミシマサイコ)」と呼ばれるようになったそうです。ですが近年では個体数が減少してしまい、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧種と掲載されました。そのため現在では製薬会社と契約した農家が、ミシマサイコ栽培を各地で行っています。

 薬用として、消炎、解熱などの作用があり、根を使用します。漢方処方では「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」(構成生薬7味:柴胡・半夏・黄芩・大棗・人参・甘草・生姜)などに配合され、体力中程度で上腹部あたりがはって苦しく、舌苔が生じ、口内不快などの症状がある急性熱性病、肺炎、気管支炎などに用いられます。

 中国の「本草綱目, 1596)」には、「柴(サイコ)」を、「若いときは食用にし、老ゆれば採って柴とす。また、過去の日本の研究雑誌FFI Journalにはサイコのお煎餅など食経験に関する記述があります。



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(平成30年10月5日撮影)

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