薬用植物園
季節の花
スイゼンジナ 2018.02
(平成30年2月8日撮影)
学名: | Gynura bicolor (Roxb. ex Willd.) DC. |
---|---|
科名: | キク科 Asteraceae |
別名: | キンジソウ、スイゼンジソウ、ハンダマ、シキブグサなど |
英名: | Okinawan spinach |
中国名: | 紫背菜、血皮菜、天青地紅 |
生薬名: |
観音莧(カンノンケン) 使用部位:全草 |
インドネシアのモルッカ諸島が原産の多年性植物です。日本には18世紀頃中国から伝来したとされています。東アジアの熱帯地方で広く自生し、日本では四国、九州の南部や沖縄で自生しているのがたまに見られます。名前の由来は茹でることでぬめりがでてスイゼンジノリに似ているためついたと言われています。熊本県で「水前寺菜(すいぜんじな)」と呼ばれていますが、石川県では「金時草(きんじそう)」、愛知県では「式部草(しきぶそう)」、沖縄県では「ハンダマ、ファンダマ」と呼ばれています。植物学的には「スイゼンジナ」が正式な和名とみなされています。ちなみにスイゼンジノリとは、熊本県の江津湖が産地の藍藻(らんそう)です。天然ものは水質の悪化などが原因でほぼ絶滅したといわれています。現在数件の業者が養殖しており、一部の料亭や郷土料理店で扱われる高級品です。
当園では寒さで枯れる前に温室に入れ、2月に花を咲かせました。花は橙色で、日が経つにつれて段々と赤みを帯びていきます。種はできても繁殖能力が無いので通常は挿し木で増やします。葉は互生し、鋸歯があり、裏側が濃い紫色をしています。寒さに弱いため、日本の場合地上部は花が咲く前に枯れてしまいますが、暖かい地方だと地下部のみ越冬します。
熊本から始まり各地で栽培が本格化していきましたが、熊本では家庭栽培が基本で、次第に減少していったそうです。健康志向が高まってくる頃、研究の結果スイゼンジナには多量のポリフェノール(ポリアシル化アントシアニン等)が含まれていることが判明し、注目が集まりました。するとこの直後(平成18年)に、熊本に関わりのある野菜「ひご野菜」に、スイゼンジナ含む15種が選ばれました。それから「ひご野菜」の種の保護、栽培促進、料理法の開発が進められ、スイゼンジナの出荷、消費が増えていきました。現在熊本では御船町が最大の産地であり、「御船川」のブランド名で販売されています。
日本では薬用として扱いませんが、中国では、血を活かす、止血、解毒作用があるとし、全草を使用します。月経痛、血崩、咳血、腫物などの症状に使われるそうです。また、産後の瘀血による腹痛、血崩等を治すため根を使用します。
(平成30年2月8日撮影)
- バックナンバー
-
- バイモ 2019.03
- マンサク 2019.02
- ロウバイ 2019.01
- ビワ 2018.12
- リンドウ 2018.11
- ミシマサイコ 2018.10
- ヒシ 2018.09
- シシウド 2018.08
- オトギリソウ 2018.07
- アマチャ 2018.06
- スペインカンゾウ 2018.05
- ボタン 2018.04
- サンシュユ 2018.03
- スイゼンジナ 2018.02
- ハラン 2018.01
- セキチク 2017.12
- キク 2017.11
- ヒキオコシ 2017.10
- ヨロイグサ 2017.09
- コガネバナ 2017.08
- キキョウ 2017.07
- カギカズラ 2017.06
- カラスビシャク 2017.05
- ウスバサイシン 2017.04
- ローズマリー 2017.03
- セリバオウレン 2017.02
- スイセン 2017.01
- サフラン 2016.12
- ショウガ 2016.11
- シオン 2016.10
- コウホネ 2016.09
- キョウチクトウ 2016.08
- オニバス 2016.07
- ハス 2016.06
- テッセン 2016.05
- キュウリグサ 2016.04