薬用植物園

季節の花

サンシュユ 2018.03

2018030101.jpg(平成30年3月7日撮影)

学名: Cornus officinalis Siebold et Zucc.
科名: ミズキ科 Cornaceae
別名: ハルコガネバナ、アキサンゴ
英名: Asiatic dogwood, Japanese cornel, Japanese cornelian-cherry
中国名: 山茱萸
生薬名:

山茱萸(サンシュユ)  使用部位: 果肉

 中国、朝鮮に自生する落葉小高木です。日本には江戸時代に朝鮮半島から渡来し、庭や公園に植えられています。当園では、3~4月の間に黄色い花を咲かせています。花はセリ科の植物と同じような散形花序で、葉が開く前に開花します。この花が咲いている様子から別名の「ハルコガネバナ」という名がついたそうです。果実は、長さ1.5cmぐらいの楕円形で、真っ赤に熟します。種を取り除いて生食や薬用酒などに利用します。また、秋に赤い実を全体につける様子から「アキサンゴ」とも呼ばれています。

 ブルガリアにはサンシュユと同属の木があります。こちらはドリャン(セイヨウサンシュユ:Cornus mas L.)と呼ばれ、一部の地域ではこの枝や葉を使い牛乳を混ぜることでヨーグルトを作っているそうです。同じようにサンシュユを使った場合は牛乳が固まったとの報告があるようですが、雑菌等の関係からあまり食べることはオススメできません。

 当園にあるサンシュユは、蕃滋園由来の植物の一つです。蕃滋園とは、肥後藩主 細川重腎が1756年に開園した薬用植物園です。明治になり蕃滋園は個人のものとなり、1890年、個人の死後に廃園しました。その際に蕃滋園の植物は、当時学校令により全国5か所に設置された高等中学校の一つ、第五高等中学校(後に熊本市内の他大学と包括され熊本大学が発足する)に寄贈され、サンシュユを含む一部の植物は、薬学部の前進である熊本薬学専門学校の薬用植物園に移されました。ともに移植された薬木を当園スタッフは蕃滋園五木と名付け、サンザシニンジンボクモクゲンジテンダイウヤクが当園に残っています。

 薬用として、止汗、強壮、収斂などの作用があり、果実を使用します。漢方処方では「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」(構成生薬8味:地黄・山薬・山茱萸・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂枝・附子)等に配合され、腰や下肢のだるさで力が入らない、腰や下肢の冷感、四肢の冷え、ふらつき等の症状に用いられます。



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(平成30年3月7日撮影)

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