薬用植物園

季節の花

カラスビシャク 2017.05

flower_201705_01.jpg(平成29年4月16日撮影)

学名: Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb.
科名: サトイモ科 Araceae
別名: ハンゲ、ヘソクリ、ヒャクショウナカセ
英名: crowdipper
中国名: 半夏
生薬名: 「半夏(ハンゲ)」 使用部位:塊茎

 日本、中国、朝鮮半島に分布する多年性植物です。国内全土の畑地等に自生しています。当園では4月から5月の間に花を咲かせています。長い花茎を伸ばし、その先端に花序をつけます。雄花は花序の上部に密生し、その下に雌花が密生しています。花序を包む苞(ほう)は特徴的な形をしており、このようなサトイモ科植物に見られるような特徴的な苞は仏炎苞(ブツエンホウ)と呼ばれています。

 カラスビシャクは種子繁殖の他に、ヤマノイモの様にムカゴを作り繁殖することができます。この繁殖力の強さから別名ヒャクショウナカセ(百姓泣かせ)と呼ばれていたそうです。その一方、ヘソクリという別名もあり、農家のお年寄りや主婦が畑のカラスビシャクの塊茎を集めて売って、ヘソクリにしていたことに因みます。

 薬用として、鎮静、鎮吐、鎮咳、去痰作用があり、塊茎を使用します。漢方処方では「半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)」(構成生薬5味:半夏・茯苓・生姜・厚朴・蘇葉)等に配合され、気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎などの症状に用いられます。

 半夏は優れた鎮吐剤ですが特有のえぐみを持っていて無理に飲むと逆に嘔吐してしまうことがあります。生姜を加えるとそのえぐみを和らげることができて飲みやすくなります。このことから構成生薬として半夏(カラスビシャク)を含む漢方処方の多くが生姜とセットで成り立っています。

flower_201705_02.jpg(平成29年5月8日撮影 塊茎・仏炎苞)

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