薬用植物園

季節の花

ショウガ 2016.11

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学名: Zingiber officinale(Willd.) Roscoe
科名: ショウガ科 Zingiberaceae
中国名: 姜 (キョウ)
別名: ノジオン、ニワジオン
生薬名: 生姜(ショウキョウ)・乾姜(カンキョウ) 使用部位:根茎

 日本には、江戸時代以前より食用・薬用として渡来した熱帯アジア原産の多年性の植物です。世界中で栽培されており食用はもちろん、薬用としても広く用いられています。ショウガは寒さに弱いので日本では4月の暖かい時期に種芋を定植し、11月の始め頃に収穫します。日本の気候ですと花茎が出てくる前に気温が下がるため花が咲くことが滅多になく、ショウガを栽培している農家の方も中々花を見る機会がないようです。温室などで長年植えておくと花が咲くようですが、当園の野外で栽培しているショウガは今年花を咲かせてくれています。

 ショウガは、よく刺身や生肉等と一緒に食べられますが、それには理由があります。ショウガには殺菌効果や体を温める効果等があり、生食する際に細菌による食中毒の被害を抑えたり、夏場に素麺と食べることで急激な体の冷えを抑えたりする効果があります。

 薬用としては、ショウガは「生姜(ショウキョウ)」、「乾姜(カンキョウ)」と加工法により二つの生薬ができます。

 まず生姜は、ショウガの根茎を乾燥させたものです。体を温めることによる発汗作用や健胃作用があり、悪寒・発熱などの風邪の症状や嘔吐や食欲不振に用いられます。また別の生薬と組み合わさることにより、更なる効果を発揮します。例えば「大棗」(ナツメの果肉)の組み合わせは、胃腸を温め機能を整える効果があり、「蘇葉」(シソの葉)の組み合わせは、魚介類などによる食中毒に効果があるそうです。非常に多くの漢方処方にも配合されており、多くの処方の基本となった桂枝湯をはじめ、葛根湯、六君子湯など有名な処方にも配合されています。「桂枝湯(ケイシトウ)」(構成生薬5味:桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗)は、悪風・発熱・頭痛・発汗等の症状に用いられます。欧米では根茎の生の汁を育毛のため頭皮マッサージに使用するそうです。

 乾姜は、根茎を湯通し、または蒸したあとに乾燥させたものです(加工修治)。この修治により辛味成分ジンゲロール(gingerol)が分解されることで生産されるショウガオール(shogaol)が増加し、様々な効能効果が期待されますが、主に漢方処方で利用されます。体を胃腸など内臓器官から温める効果がより強く、冷えによる咳や痰を鎮めます。また、腹部の冷えによる腰痛、腹痛、消化不良、下半身の冷えに伴う頻尿などを目的に使用されます。例えば、「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」(構成生薬4味:山椒・乾姜・人参・飴糖)に配合され、胃腸炎・膵臓炎・過敏性腸症候群や、開腹術後の疲労倦怠感・疲れやすい・腹痛・腹のガスが抜けにくい・腹部膨満感・嘔吐して食べられない等の症状に用いられます。

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