薬用植物園

季節の花

スペインカンゾウ 2018.05

2018050101.jpg(平成30年5月2日撮影)

学名: Glycyrrhiza glabra L.
科名: マメ科 Fabaceae
別名: セイホクカンゾウ、ヨーロッパカンゾウ
英名: liquorice、licorice
中国名: 光果甘草
生薬名:

甘草(カンゾウ)、炙甘草(シャカンゾウ) 使用部位:根、ストロン

 南ヨーロッパ、中央アジア、中国の寒冷で排水のいい土壌に自生している多年性の植物です。当園では5月に入り花を咲かせました。草丈は50~100cm程で、地中深くに根または根茎を張り巡らせます。根は砂糖の50倍の甘味成分を含んでおりこれがカンゾウ(甘草)の由来になっています。葉は主脈の左右に小葉が羽状に並んでいる羽状複葉で、葉腋に穂状花序をつけます。薬用部位であるストロンというのは、茎の基部から枝分かれして先端に新しい芽をつける匍匐枝のことを言います。

 甘草は漢方処方の約7割に使用されていて欠かせない生薬です。日本の場合その多くは中国、オーストラリアから輸入していますが、中国では甘草の乱獲による砂漠化が問題になり、輸出の制限がされています。そこで、武田薬品工業やツムラなどの製薬会社が国内で甘草を生産し、輸入に頼らない国産化する計画が進められています。甘草が多くの漢方薬に処方される理由として、作用の強い薬と用いるとその効果を緩やかにしたり、緩やかな効果を補強したり、苦い薬剤に矯味剤として用いるなどバランスを保つ役割があるためだと思われます。

 薬用として、甘草は鎮痛、鎮痙、鎮咳などの作用があり、根およびストロンを使用します。漢方処方では「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」(構成生薬2味:芍薬・甘草)等に配合され、筋肉の痙攣、急性の腰痛・腹痛などの症状に用いられます。

 炙甘草は甘草と同じ薬効ですが、煎ることで補気作用が強くなり、疲れやすく元気が出ないなどの虚弱体質に効果があります。漢方処方では「炙甘草湯(シャカンゾウトウ)」(構成生薬9味:地黄・麦門冬・桂皮・大棗・人参・麻子仁・生姜・炙甘草・阿膠)等に配合され、虚弱体質の動悸、息切れなどに用いられます。



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(平成30年5月2日撮影)

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