薬用植物園

季節の花

アマチャ 2018.06

2018060101.jpg(平成30年6月6日撮影)

学名: Hydrangea serrata Ser. var.thunbergii (Siebold) H.Ohba
科名: アジサイ科 Hydrangeaceae
別名: No information
英名: Sweet Hydrangea Leaf
中国名: 土常山
生薬名:

甘茶(アマチャ)  使用部位:葉

 日本原産の落葉小低木です。日本では各地で栽培されており、中部山中にまれに自生しているそうです。当園では5月中旬から6月末まで花を咲かせています。高さは1~2m程で、枝の先端にガクアジサイによく似た散形花序をつけます。花序には花弁に見える部分がありますがこれは萼片が発達した装飾花とよばれるものです。また、花の色は土地のpHに影響されて変化し、酸性度が高いと青くなり、アルカリ性に近いとピンク色になります。葉には甘味成分「フィロズルチン」を含んでいて、その甘さは砂糖の数百倍といわれています。

 アマチャはヤマアジサイ(Hydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. serrata)の甘味が強い変種で、民間で発見されたといわれています。古くから薬用や食用に利用されており、醤油の味付けや丸剤などの矯味剤などに使用されてきました。また、釈迦の誕生日を祝う灌仏会で、アマチャで作ったお茶、「甘茶」を参拝者に飲ませたり、釈迦の像にかけたりします。甘茶を飲むのは釈迦が誕生するときに甘い雨が降り、皆で雨を飲み誕生を祝ったことに由来し、釈迦の像に甘茶をかけるのは釈迦が誕生する際に八大竜王(仏法を守護する天龍八部衆の一人で雨乞いの神様として昔から祀られている)が産湯に甘露(甘い水)を注いだという故事に由来します。アマチャの生の葉は苦味が強いのでそのままでは使いません。まず日に当てて乾燥させ、水につけます。もう一度乾燥させて手で揉み発酵させることで、苦味がなくなり強い甘味を感じることができます。

 薬用として、抗酸化、抗菌などの作用があり、葉を使用します。漢方処方で使用されませんが、糖尿病患者や肥満の方の砂糖の代用、また丸剤などの矯味料などに使用します。濃すぎるアマチャを飲むと中毒を起こして嘔吐する恐れがあるため、濃いアマチャを飲む事は避けましょう。



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(平成30年6月6日撮影)

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