薬用植物園

季節の花

セリバオウレン 2017.02

flower_201702_01.jpg(平成29年2月8日撮影)

学名: Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake
科名: キンポウゲ科 Ranunculaceae
生薬名: 黄連(オウレン) 使用部位:根茎

 林内のやや暗い所に生える多年性の植物です。北海道西南部から本州に自生しています。日本では江戸時代に栽培が盛んに行われており、中国などに輸出していましたが、現在は生産が激減しており国内の流通品は中国産の味連・川連(基原植物Coptis chinensis Franchet)と呼ばれるものが殆どです。生薬の生産には畑栽培で3~5年、林内での栽培では10~20年と長い期間を必要とされています。かつては、各地の中山間地で栽培が盛んにされていましたが、現在では林内栽培だけ福井県大野市の他、一部地域が行っているそうです。

 根茎に短い間隔で節があり、折ると断面が濃黄色のため黄連と名がついたとされています。薬用のほか、染色にも用いられ、明るい黄色を出すのに使われるそうです。

 主に漢方処方に配合され、例えば「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」(構成生薬4味:黄連・黄芩・黄柏・山梔子)は、発熱性疾患、鼻出血、炎症性の出血、ウイルス性肺炎などの症状に用いられます。民間薬としても用いられていて、胃炎、消化不良、下痢止めに粉末を服用するそうです。漢方で用いる黄蓮の基原植物は、本種の他にシナオウレン(Coptis chinensis)や峨眉野連、三角葉野連、雲南黄連などがあります。日本産の薬用オウレンとしては変種のキクバオウレンが知られていますが、使用量はあまり多く有りません。日本にはオウレン属植物が数種自生しておりますので、野山での観察を楽しんでみてください。

flower_201702_02.jpg(平成29年2月8日撮影)

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