薬用植物園

季節の花

キョウチクトウ 2016.08

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学名: Nerium oleander L. var. indicum (Mill.) O.Deg. et Greenwell
科名: キョウチクトウ科 Apocynaceae
中国名: 夾竹桃
生薬名: 夾竹桃(キョウチクトウ) 使用部位:樹皮、葉

 インド原産の常緑樹です。初夏にピンクをはじめ、赤や白などの花を咲かせます。当園では8月の中旬に花が満開でした。温暖な気候の日本に適しており、排気ガスなどの公害や乾燥、病害虫に耐性を持っているので、公園や街中に植樹されているのがよく見られます。当然、花がキレイなことも人気なポイントだと思われます。

 このように、各地に植栽される人気花木ですが、植物全体に毒性があります。誤食すると、下痢・不整脈・心臓麻痺などの深刻な症状を引き起こし、場合によっては死に至る危険性があります。このような例があります。バーベキュー中、近くにあった木の枝を箸の代わりに使用したところ、上記のような症状がでて、救急車に運ばれてしまったそうです。のちに、その木はキョウチクトウと判明したそうです。キョウチクトウに限らず、キョウチクトウ科植物の多くは毒性を持っています。例えば花壇によく植えられるニチニチソウも強い毒があります。毒が強い植物から、多くの医薬品が誕生してきたことも、特記できる事実であり、世界を変えた植物と言えるでしょう。

 キョウチクトウは広島市の花に選ばれています。原爆投下後、焦土となり75年間草木も生えないと言われていた場所にいち早く花を咲かせ、懸命に復興努力をしていた市民の方々に希望を与えてくれたからという理由があるそうです。

 生薬名は「夾竹桃(キョウチクトウ)」と言います。薬用として葉と樹皮を使用し、打撲の腫れや痛みに煎液で患部を洗います。誤っても口にしてはいけません。植物の語源は、その細長い葉が竹に似て、花がモモの花に似ていることから名付けられたと言われています。

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