薬用植物園

季節の花

キク 2017.11

20171101.jpg(平成29年10月20日撮影)

学名: Chrysanthemum morifolium Ramat.
科名: キク科 Lamiaceae 英名 Asteraceae
別名: イエギク
英名: florists' daisy
中国名: 菊花 (鞠)
生薬名: 菊花(キクカ)  使用部位:頭花

 5,6世紀頃中国に原産するハイシマカンギクとチョウセンノギクの交雑で生まれた多年性植物です。そのため基本的に野生品はありません。日本では平安時代に中国から伝わり現在でも栽培や品種改良が盛んにされています。

 花は、キク科特有の花序をつけます。花を分解すると花びらや花床が一つ一つ花の作りをしていることが確認でき、それらが集まって一つの花のようになっています。この作りを頭状花序といいます。また頭状花序は、筒状花(花床の部分を作る花)と舌状花(花弁に見える花)で構成されている、ヒマワリの様な花を作ります。また、例外もありタンポポ等に見られる、舌状花のみで構成されているものもあります。

 観賞用として、江戸時代から各地で育種、改良され、独自の発展を遂げた古典園芸植物の一つです。熊本では「肥後六花」の一つに「肥後菊」があり、熊本藩士とその後裔によって育成されてきました。肥後菊の特徴は、花弁が重ならず、間が透けているのが特徴です。また観賞する際には背の高さや花弁、花色、花の大きさ、花の数、株間など細かい決まりごとに沿って、配列されます。この三間花壇は熊本城の「肥後銘花園」で見ることができます。

 観賞の他に、冠婚葬祭の飾り付けや、「菊の御紋」として知られる皇室の紋章、日本のパスポートの表紙、50円硬貨の模様、またサクラと同じく国花として扱われるなど、日本の文化との関わりが深い植物です。品のある花として色々な場面で扱われています。

 その他、食用にも利用され'もってのほか'に代表される苦味が少ない品種が利用されています。調理法として、酢の物、天ぷら、おひたし等があります。

 薬用として、解熱、解毒、消炎作用があり、頭花を使用します。漢方処方では「釣藤散(チョウトウサン)」(構成生薬11味:釣藤鈎・菊花・石膏・陳皮・麦門冬・半夏・茯苓・人参・防風・生姜・甘草)等に配合され、高血圧症、自律神経失調症・神経症・更年期障害等の症状に用いられます。菊花は主にかすみ目、つかれ目、眩暈、視力低下など目の症状に用いられることが多いです。民間的な利用方として、薬用菊の花を乾燥させお茶にして飲むと、花粉症による鼻水等の症状が緩和することが知られています。



20171102.jpg
(平成29年11月8日撮影)

PAGE TOP