薬用植物園

季節の花

サフラン 2016.12

flower_201612_01.jpg(平成28年12月7日撮影)

学名: Crocus sativus L.
科名: アヤメ科 Iridaceae
中国名: 番紅花 (バンコウカ)
生薬名: サフラン 使用部位:雌しべの柱頭

 ヨーロッパ南部、小アジア(アジア大陸最西部で西アジアの一部をなす地域)が原産と考えられている多年性の植物である、薄紫色の花弁、黄色い雄しべ、赤色の雌しべが特徴の鮮やかな花を持つ植物です。日本には江戸時代末期に伝わったと言われています。生薬として利用する他に、ブイヤベースやパエリヤなどの料理の香料や着色料、また染料にも利用されています。現在日本でのサフランの生産は、大分県竹田市が約8割を担っており、日本でのサフラン栽培は、主に室内で行われています。まず葉が枯れ始める少し前に堀上げ球茎を乾燥し、専用の棚に並べます。11月頃になると棚に置いたサフランが開花し、そこから雌しべを収穫します。花が終わる頃に、株全体への栄養補給のため、採花により消耗しつつある球根を定植し、次年度の収穫時まで栽培管理します。屋内で行う理由として、使用部位の収穫や不要な部分の除去作業が楽になるため、そして収穫の際の異物混入や長期定植による球根の病害侵入を最小限に止める防御対策などの利点があるからです。この栽培方法は、日本独自のもので、海外では畑で花を咲かせる露地栽培が主流です。サフランは収穫時の収量が非常に少なく、手作業のみで乾燥重量1g集めるのに300本の花が必要で、最も高価な生薬と言えます。

 薬用効果として、鎮静、鎮痛、通経作用があり、生理痛、生理不順、更年期障害などの症状に用いる婦人薬の原料になっています。民間的に、風邪や気分の落ち着かないときに10本程度の雌しべに熱湯を注いで飲むという使い方があります。子宮収縮作用があるため、妊婦の方の服用には特に注意が必要で、使用を控えてください。

flower_201612_02.jpg(雌しべ)

PAGE TOP