研究・教育紹介 RESEARCH

臨床薬理学

臨床薬理学

明日の医療に貢献できる薬と医薬品情報を社会に発信する研究室

薬に関する様々な問題を解決するために 薬学部だからこそ出来ること

 薬は人類の大切な財産です。先人達の長年の経験と研究により、見出されてきた数多くの薬が私たちの豊かな生活に恩恵を与えてくれます。しかし薬(クスリ)は正しく用いられないと効果を発揮しないばかりか、恐ろしい毒(リスク)へと変身してしまいます。実は、薬の有害な副作用に苦しめられている患者さんは少なくありません。また、医療・科学の発展は目覚しいものがありますが、未だに治療薬のない"アンメット・メディカル・ニーズ"のある難病も多く存在しています。これらの薬に関わる社会問題を解決することが私たちのミッションと考えています。

-医療ビッグデータを活用し、クスリのリスクを最小化する!

 近年、ビジネスや経営・経済学の領域で注目されているビッグデータ解析。我々は薬学でいち早くこれに着手し、医療ビッグデータ分析による薬剤性腎障害や肝障害などの副作用研究に応用しています。また、研究成果を基に腎排泄型薬剤処方監査支援システム(図1)を開発しました。本システムは全国200ヶ所以上の薬局で使用され、我々の研究成果はクスリのリスク最小化に貢献しています

図1 実際に薬局で使用されている腎排泄型薬剤処方監査支援システムの概念図

-熊薬伝統の"環状オリゴ糖"研究で、稀少難病の克服を目指す!

 ニーマン・ピック病C型(NPC)は遺伝子の変異によりコレステロールをはじめとする脂質の細胞内輸送に異常が生じる疾患です。有効な治療法は未だ確立しておらず、患者の多くが10代で亡くなる難病です。近年、環状オリゴ糖シクロデキストリン(図2)がNPCの治療薬となる可能性が示され注目されています。シクロデキストリン研究を長年リードしてきた熊薬のノウハウをフル活用し、NPC患者におけるシクロデキストリン療法に関する基礎研究と臨床研究の融合(橋渡し循環研究)を実践しています。遺伝子欠損マウスやNPC患者由来のiPS細胞などの熊大が誇るリソースを駆使し、有効で安全なNPC治療薬の開発を目指し日夜研究に励んでいます。

図2 当分野で見出したNPC治療効果を示すシクロデキストリン誘導体