研究・教育紹介 RESEARCH

環境分子保健学

環境分子保健学

熊薬で「ウイルス研究」および「ワクチン研究」のすすめ

 テレビ画面から「ウイルス」、「ワクチン」という言葉を毎日耳にするようになりました。今では「新型コロナウイルス」という言葉は、子供から大人まで殆どの国民が知っています。これまでに他に聞いたことがあるウイルスがあるとすれば、「インフルエンザウイルス」、「ノロウイルス」、「麻疹ウイルス」、「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」といったウイルスでしょうか?年齢によっても印象が異なるはずですが、子供の頃に経験した集団予防接種の経験、性感染症に対する興味、ワクチンの副作用に対する不安などにより、それらウイルスに対する印象も大きく違うはずです。

 そもそも、ウイルスとは何か?改めて問われると説明に困ります。ウイルスは、宿主細胞の助けなしでは増えることはできません。ウイルスは、宿主細胞機構を巧みハイジャックしてその生存を図っています。ウイルスの病原性発現機構の解明には、ウイルスが巧みに宿主細胞機構とどのように相互作用し、宿主細胞機構をどのようにハイジャックするかを明らかにすることが必要であり、これらは「ウイルス研究」の醍醐味でもあります。

 我々の研究対象である「HIV」、「インフルエンザウイルス」、「新型コロナウイルス」は、ヒトの気道や膣といった粘膜を介して感染をします(図1)。本分野は、30年以上、HIVの研究に携わってきており、HIVが効率的に宿主細胞を制御するために、ウイルス性因子に驚くべき多機能をもたせて、宿主細胞をハイジャックしているという事実を目の当たりにしてきました(図2)。これらの経験をインフルエンザウイルスや新型コロナウイルス研究にも応用し、「ワクチン研究(図3)」や「抗ウイルス剤開発(図4)」のための基礎研究を国内外の研究者等と協力して実施しています(図5)。これらの研究は、熊薬が独自に保有する感染症研究施設を最大限に活用して実施されており、"ウイルス感染症を制圧する"というウイルス研究の根本的目的を常に念頭に置き、研究の過程で得られた新たな知見を少しでもウイルス感染症の予防・治療に結びつけたいとひたむきに取り組んでいます。

研究室HP: https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/emhs/