研究設備紹介
核磁気共鳴装置(500MHz) (日本電子 JNM-A500)
NMRとは、核スピンを有する核(例えば1H, 13C, 31P, 15N, 18Oなど)を強力な磁場の中に置き、ラジオ波と共鳴させ、得られる情報をコンピュータを用い解析するものである。物質の立体構造、運動性などを明らかにできる。
本機械は、11.7 T(テスラ)の超伝導磁場を持ち、各種核の一次元、二次元の各種測定が可能で有り、一般的な合成、天然化合物と共に、蛋白質などの高分子化合物の構造解析も行なっている。試料は1H-NMRで数mg。13C-NMRでは数mg以上有れば普通のデ-タが得られる。FGプロ-ブを備え、各種二次元測定の精度も良い。
測定依頼上の注意点・方法
- 測定依頼書には一次元用と二次元用の2種類があります。それぞれに必要事項を記入の上サンプルを添えて核磁気共鳴装置室に申し込んで下さい。部屋の前に依頼書用紙入れとサンプル管立てが用意してあります。
- 依頼書には必ず指導教官の捺印(教授印)が必要です。
- 溶媒名、分子量、試料重量は、積算回数や測定時間を決める上で大変重要ですので必ず記入して下さい。未知のサンプルの場合は予想値でもよいので記入して下さい。MW≒300、MW≒500、MW≒1000とか
- 読みずらい氏名には振り仮名をつけて下さい。又、中には自分の名前を書き忘れたりサンプル名が書いてなかったりするものがあります。
- サンプル名には英、数字のみしか使用できません。たとえば、日本語、/、’、α、β、等は使用しないで下さい。字数には制限はありませんが10字以内が好ましいです。
- 又、以外と多く見られるのが紛らわしい字。たとえば、0とO、1とI、2とZ、VとU、等々、サンプル(試料)名でデータを保存しますので正確に書いて下さい。
- これも多く見られるのが一度使用したサンプル名を2度、3度使用してあるサンプル。2度使用しますと前回測定し保存してあるデータを消去してしまう恐れがあります。消えては困るサンプルの場合はサンプル名を変えて下さい。同じサンプルで溶媒のみを変えて、 再測定する場合でも、サンプル名の変更は必要です。保存してある測定データが不用である時 はその旨依頼書に、消去可と書いておいて下さい。バージョンUPでの保存も可能ですが、そのデ-タを検索したり、プリントアウトしたりする時に困ります。
- 試料管には、Aクラス、Bクラスとありますが、少々高価ですがAクラスの使用をお勧めします。Bクラス以下のものには、目には見えませんが歪みがあったり、曲がっていたり、いびつであったりで、ガラスの肉厚が均一でない試料管があります、この様な試料管は分解能に影響します。ひどい時はスピンナーが回転しません。
- Bクラスの試料管は購入後、使用前に平らな机の上で転がし、滑らかに転がるのを確認して下さい。
- 試料管は15cm以上の長さのあるものを使用して下さい。15cm以下の試料管はスピンナーに装着出来ません。
- プローブの汚れや破損につながる、サンプル管のヒビ、キズ、汚、サンプル管の口が割れているもの等が有るものは返却します。
- 溶媒量は、サンプル管の底から4.0cm~4.2cmになるように調製して下さい。多過ぎるのは測定出来ますが、溶媒がむだになります。少な過ぎるもの3.5cm以下は分解能に影響し良いデ-タが得られません。
- サンプルは、試料と溶媒とTMSとを良く撹拌して均一に混ぜて下さい。見ただけで混ざっていないとわかるサンプルが、時々見受けられます。混ざっていないと光りが乱反射屈折して分解能が上がりません。
- サンプル管には2.5cm×5.0cmぐらいの旗(ラベル)にサンプル名、氏名等を書いて記入し、キャツプをシールでしっかり固定して提出して下さい。くれぐれも粘着テ-プの使用は避けて下さい。大き過ぎる旗は他人の迷惑になりますので避けて下さい。
- NMRの測定は、基本的に1H-NMRを測定し純度等を確認した後に13C、2D、差NOE等の測定を依頼して下さい。ただし270MHz、300MHz、400MHz等の機種で確認済みのサンプルについては、その旨を依頼書の備考欄に書いておくか、又は、そのチヤートのコピーでも添付して下されば助かります。
- 試料重量の極端に少ないサンプル(数mg、しかとれなかったり、又、溶けなかったり)で13CやHMBC等 のデータが必要な場合は、測定には長時間の積算を必要としますので測定者と相談下さい。
- オーバ-ナイトを要するサンプルが多数依頼されます。1日に1検体ずつしか測定が進みませんので結果報告が遅れます、御承知おき下さい。又、私のサンプルは、400MHzNMRでの測定で良いという場合にはその旨依頼書にお書き下さい。400は空いていますので早く報告出来ます。
- 1DNMR、2DNMR共標準パラメターで測定しますが、パラメターの変更は自由にできます。依頼書に変更したいパラメターの数値をお書き下さい。(PI1、PD、SC-TIME等)同一サンプルでもパラメターの変更で測定結果が違ってきます。
- 水や溶媒等の不用信号は2本迄消去で来ます。消去してほしい場合は、要、不要の有無とそのピークの位置を指示して下さい。
- 差-NOE測定の場合は1H-NMRのチャート(コピーでも可)を依頼書に添えて照射位置を指示して下さい。ピークの山を照射するのか谷を照射するのか、又、ピークが復数本ある場合はどのピークを照射するのか正確に指示するようにして下さい。指示のしかたによって測定結果に影響します。
- 二次元の測定には一次元の1H、13Cのノーマルデータが必要ですので、一次元NMRを測定後に二次元を依頼して下さい。又、その場合1H、13Cのファイルネーム(SFILE)と13C-NMRの測定にどのぐらいの時間を用したか、積算回数(SCANS)を絶対に忘れないで書いておいて下さい。
- 温度可変測定は溶媒の融点、沸点によって左右されますが、基本的に-140 ℃~+180℃まで測定が可能です。TH-プローブ、FG-プローブ等によっても違ってきますので測定者に相談下さい。又、室温以下での測定には液化窒素ガスが必要で、液化窒素ガスは依頼者が用意することになっています。メタルデユワビンは30L用と10L用が当NMR室に用意してあります。
- 多核NMR測定、19F、31P、17O、等の測定は準備が必要ですので、前もって(少くとも2~3日前)測定者に連絡下さい、測定日をお知らせします。
- データ保存にはMOを使用します。MOは各教室(又は各自)で御用意下さい。MOは128MB、230MB、540MBいずれも使用できます。
- 当NMR室では至急の測定は受付てはおりませんが、論文の〆切り、発表前等急を用する場合は測定者と相談下さい。
- 測定結果の報告は電話でお知らせします。NMR室前の報告書入れにサンプル共々置いておきます。各自取りに来て下さい。
この装置のマニュアルは こちらから
お問い合わせ
薬学部 生薬・天然薬物学研究室 矢原正治 内線4381
機器分析センター 武田勝士 内線4815 e-mail:ktakeda@gpo.kumamoto-u.ac.jp