研究室案内

臓器形成学分野

Department of Developmental Genetics

スタッフ

教授 荒木 喜美arakimi(アットマーク)gpo.kumamoto-u.ac.jp
助教 杉本 道彦m-sugi(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
助教 竹田 直樹ntakeda(アットマーク)gpo.kumamoto-u.ac.jp

研究テーマ

【研究プロジェクト名および概要】

研究の主題は「ほ乳類発生および疾患発症における遺伝および分子メカニズムの解明」であり、発生工学技術を駆使して、in vivoでの解明を目指している。
具体的な研究課題とその概要は以下の通りである。

  1. 1. ゲノム工学: Cre/変異loxシステムを用い、マウスES細胞で任意の遺伝子をゲノム上で自在に操作する技術を開発、効率よく遺伝子操作マウスを作出している。このシステムを用い、優性遺伝する成長遺伝子異常症のモデルマウス作製に成功し、その発症機構の解析を行っている。また、近年CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術が急速に普及しつつあるが、より確実により効率的に遺伝子改変マウスを作出するための技術開発を進めており、それら技術を用いて新たな変異マウス・疾患モデルマウスの作出を手がけている。
  2. 2. 可変型遺伝子トラップクローンの解析: Cre/変異loxシステムを用いた可変型遺伝子トラップベクターを用い、今までに1270クローンにおいてトラップされた遺伝子を同定し、データベースEGTCにて公開している。得られたトラップクローンの中でも、非コード長鎖RNA遺伝子をトラップしているクローンに注目し、現在解析を進めている。
  3. 3. 日本産野生マウスMSM/Ms系統を用いた解析: がん遺伝子であるc-Maf遺伝子を導入したMSM/Msトランスジェニックラインを樹立、発がん率がC57BL/6と変わるのかどうか解析を行っている。C57BL/6では、cMaf過剰発現により細胞増殖に関わるいくつかの遺伝子の発現が誘導されるが、MSM/Msでは、それらの遺伝子の発現上昇が観察されないことから、MSM/Msにおいては異なる遺伝子カスケードが働いていると考えられる。
  4. 4. 哺乳類発生過程におけるVps52ならびにその関連遺伝子の機能解析: Vps52遺伝子は細胞内小胞輸送経路を制御していることが知られている。しかし変異マウスを用いた解析より、哺乳類の発生制御に重要な遺伝子であるとともに、多能性幹細胞の分化に必須であることが新たに分かった。さらに、Vps52が細胞間相互作用にも関与していることを示唆する結果も得られている。本課題では、Vps52ならびにその関連遺伝子の哺乳類発生過程における役割を解明することを目指し研究に取り組んでいる。現在、Vps52関連遺伝子のノックアウトマウスを新たに作製し、その表現型解析を進めている。
  5. 5. 精子形成機構の研究: ほ乳類では精子形成の際にゲノムDNAにヒストンの大部分がプロタミンに置き換えられる。プロタミンの機能を調べるために、ノックアウトマウスを用いて解析を行っている。
  6. 6. 発生遺伝学的研究: Danforth's short tail (Sd)変異マウスの原因を明らかにしたので、それを基盤としてヒト尾部退行症候群のゲノム変異、原因遺伝子、関連分子メカニズムの解明に取り組んでいる。