研究の進め方
１．研究テーマの選択（最も重要！）
- 自分の興味（自分がやりがいを感じることができること）
- 関連分野の研究をよく調べ、どのようなことが解っていないのかについて検討する（=novelty）
- 研究材料として何を用いるのが適切かを考える
- 自分（研究室）で持っている技術で、計画した実験を遂行できるかどうかを考える（共同研究の必要性の有無）
- 新しい技術、実験系の開発（自分達に独特な系を持つことは、他の研究者の追随を許さない。=originality）
- 時にはバクチ実験も必要
- たとえ他人が既に研究していることが判っていたとしても、 本当に興味深い研究ならば敢えて中央突破して遂行しなければならない時もある
２．研究の進め方
- 実験に用いる技術・方法の原理をよく理解する。（キットを用いるときは、原著 Methodsをよく調べる。原著には方法のノウハウが書かれていることが多い！）
- 出てくる結果を前もっていろいろと予測する。（不足している対照を思い出す）
- 実験を行う前に、フローチャートを書き、実験の目的と流れを把握する。
- ノートは後で第三者に見られることを前提に書く（これが客観性の修養に重要）。失敗した時や予想に反する結果が出た時はその理由を考察。予想に反するデータから新しい発見が生まれることは多い。手技が悪いのならそれを改善するために次回どう工夫するのか。
- 常に論文化を意識し、良い雑誌に投稿するにはあとどんなデータが必要かを考え、次回に活かす。
- 不調の波をいかにして乗り切るか、不調時ほど指導者に小まめに報告するべき。早めの判断（別のアプローチやテーマ換え）が自らを救う。
３．論文の読み方
- 関連分野の論文がよく掲載される雑誌は、全巻全号フォローする（E-mail Alertsを利用し、タイトルを見て面白そうな論文は少なくともアブストラクトを読むこと！）
- Pub Medで定期的にキーワードを入力して調べる
- 読みやすい英文や和文の総説は、関連がなくてもできるだけ読む（研究の視野を広げるために必要！自分今やっている研究分野を一生続ける訳ではない）
- 読んだ論文は項目別にまとめ、きちんと整理して保存しておく（End Noteの利用。今後研究していく上での自分の財産である！）
４．セミナー・研究成果発表
- セミナーは単位です。先生は発表者だけを評価するのではありません。
- 論文紹介者は、できるだけ関連論文をフォローしてその分野に精通し、どんな質問にも対応できるようにする。（これが自分のためにもなる）
- 仕事紹介者は、まず実験の目的・原理を説明する。また細かい実験方法を説明し、失敗した時は必ずそのデータを載せる。
- 聞き手は,どんな些細なことでも解らないことは質問する。(解らないことを恥じる必要は全くない！) Young guys, don't be shy!
- 質問に答えるとき、「はい」か「いいえ」で答えられる質問には、まず「はい」か「いいえ」を言ってから、その理由を後で述べる。
- データの解釈を質問されたら、その答えが自分の意見なのか、それとも一般論や著者の考えなのかがわかるように回答する。わからない場合に曖昧な答えをするのが最も良くない。「間違っているかもしれませんが」と前置きしてでも、自分の意見をはっきりと述べる。
- レジュメは一生モノとして保存する。どこかで（大学/製薬会社/病院）自分の役に立つかもしれません。発表者はそのつもりで方法や出展を明記して作成する。
- とにかくセミナーに参加した人が「時間を損した」と思わないようにすること。
- 自分の研究内容を理解してもらうためには、まず聴衆が誰かを考えて、話し方を変えなければならない。中学生か、先生か？
