薬学部長のあいさつ

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 熊本大学薬学部は、通称「熊薬」として知られています。
 熊薬の歴史は今から約270年前の江戸時代に開設された「蕃慈園」という、薬園(薬草園)に遡ることができます。その当時、日本初の薬の学会が熊本で開催されました。日本で最も古い薬学部と言っても過言ではありません。そして、明治18年に、私立熊本薬学校が設立されました。その後、九州で唯一であることから九州薬学校などの変遷をへて、大正14年、日本で2カ所しか無い、今で言う国立の薬学専門学校になりました。当時の文部科学省は、熊本と富山を薬の専門家養成の中心にしました。当時、薬の専門家を養成する薬学専門学校の多くは、調剤だけを専門とする薬剤師養成だけでした。しかし、熊薬は、昭和20年、全国に先駆けて製薬学科の設置を行ないました。すなわち、薬剤師の養成だけでなく、創薬なども薬学の本来の使命であることを明示しました。昭和24年に熊本大学に統合された時には、薬剤学科と製薬学科の2学科制の薬学部として、スタートしました。その2学科制の流れが、現在の薬学科と創薬・生命薬科学科に継承されています。

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 このような歴史ある熊薬は、独立した広大なキャンパスを持ち、全国的にも稀有な環境を有しています。そのキャンパスで多種多様な薬用植物と希少植物を守り、育て、地域の皆様へ開放してきました。約1000種類の薬草を管理する薬草園には季節毎に様々な空気を感じることができます。また、キャンパス内には、古い医書など貴重な歴史的資料や、世界の薬草ミュージアムのような展示室や彫刻、絵画(フェルメールリクリエイト 全作品)が溢れ、アートとサイエンスと薬草が共存する空間を提供しています。令和元年には、新たな研究棟「産業イノベーションセンター」の竣工、さらには、文部科学省「地域イノベーションエコシステム形成プログラム」の事業の推進により、熊本における地域連携研究だけでなく、国際連携研究が大きく推進され、熊本から世界へのバイオビジネス産業の発信と、国富の増大が期待されてきています。また、アフリカ諸国の公衆衛生や伝承薬に関する教育研究がスタートし、令和元年10月に、第7回アフリカ開発会議ポストフォーラム in 熊本を主催するとともに、その会議の成果を「クマモト提言2019」として国内外に発信しました。薬学部は、創薬の専門家を養成するという重要な役割を担っています。未来の薬作り、すなわち、現在の医療で治せない病気を治すためには、創薬研究は極めて重要です。熊薬では今後ますます創薬研究に力を注いでいきます。研究するということは、研究を通して人材を育てるということです。世界で活躍する創薬や生命科学の研究者を、そして世界最先端の研究もできる薬剤師を育てます。本年3月の薬学科の卒業生は、薬剤師国家試験合格率約95%であり、薬剤師教育も充実しています。熊薬の財産は人です。熊薬の将来は、これから伸びていく若い諸君の双肩にかかっています。私たちは、無限の可能性をもった若いエネルギーに期待し、全力で支援していきます。若い諸君には、本気で頑張って、大きくはばたいていただきたいと思います。

 追記:本年度は、コロナウイルスの流行もあり、大学では、入学式が中止になるなど、異例の新年度スタートとなっています。薬学部は、創薬だけでなく公衆衛生の専門家を養成する学部でもあります。ゆえに、コロナウイルスなどの感染症に対して、「正しく恐れる」「正しく対処する」「正しい情報提供」などを教育する社会的な役割を担っています。新年度の全学年の授業ガイダンスや導入講義においては、コロナウイルス対策に関する正しい知識を教えます。講義や実習の環境も、「3つの密」をきちっと考慮した体制で実施します。薬学部は、感染症を含め様々な疾患対応の正しい知識を身につけて社会貢献できる人材を育成して参ります。コロナウイルスなどの感染症に対する医薬品開発やワクチン開発にも直接的あるいは間接的に貢献して参ります。

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