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研究格言集

1. 本も読まねばならぬ。考えてもみなければならぬ。併し働くことはより大切である。
 凡人は働かねばならぬ。働くとは天然に親しむことである。
 天然を見つめることである。こうして始めて天然が見えるようになる
解説:生化学の大御所H先生が引用された古武弥四郎先生の言葉。京都大学時代の恩師・N先生が以下のように解説しておられます:上記の言葉の最も大事な箇所は、「凡人は働かねばならぬ」ではなく「働くとは天然に親しむことである。天然を見つめることである。」である。私は"天然に親しむ"とは「仮説をもって実験を行うこと」、"天然を見つめる"とは「虚心坦懐に結果をみつめ、天然の教えてくれたものを掴み取る」ことと解している。仮説を立てるには、一般的な知識に加え仮説の基となる結果に対する考察が大事である。また最も大事なのは、仮説を立てて実験したあと、その実験で何が起こったかを、仮説の対象だけでなく、その実験で示されているすべての事象を見渡し、それを記述することが大事である。それによって、思いもかけなかったことが見えて来ることがある。)
2. ライフサイエンスに絶対はない
解説:生きていることはファジーです。簡単には割り切れない生命現象はたくさんあるでしょうし、まったく予想もつかないようなことが起こっているのかもしれません。)
3. 種の無いところに木は生えぬ
解説:どんな天才でも、何もないところから新たな発想をすることはできません。普段勉強して得た基礎知識をもとにして、新たな発想が生まれます。論文でえた知識を今の自分の実験に活かしましょう!)
4. アンテナは大きいほど良い
解説:自分のやっている狭い研究分野だけにとらわれることなく、いろんなことを勉強しましょう。バックグラウンドが広ければ広いほど、柔軟な発想が生まれてきます。それに、今やっている研究を一生続ける訳ではありません。いろんなことに興味を持ちましょう。)
5. イノシシを追っていても、鹿が出てきたら、鹿を撃て
解説:京都大学時代の恩師・N先生のコメントより。研究は、仮説とその基になる実験事実に基づいて進めるのですが、最初予想したように走りません。むしろ仮説と違った結果が出ることが多く、これに基づいて新発見が見出されます。)
6. 「100打ったうちの1つ当たりゃ 一流の研究者や!
 10打ったうちの1つ当たりゃ 超一流の研究者や!!」
解説:中山先生が大学院生時代にN先生から何度も聞いた言葉。研究は試行錯誤の連続です。失敗にめげてはいけません。私自身、この言葉を自分に言い聞かせてやっています。)
7. 嘘からでた真
解説:実験をやって予想通りの結果が得られることは少ないですが、失敗したと思った予想外の結果のなかに真実が隠されているかもしれません。ノーベル賞級の発見は、失敗から生まれているのです。失敗だと思った実験のデータをゴミ箱に捨てることなく、ちゃんと記録に残しておきましょう。)
8. 1日10歩 3日で30歩 30歩進んで 20歩下がる
解説:実験がうまくいかない時には、もう一度原点に戻って良く考えてみましょう。何かヒントが思い浮かぶかもしれません。)
9. 棚から落ちたボタ餅を確実に拾う
解説:セレンディピティー serendipity を確実にモノにするのも研究者としての大切な資質です。棚から何か落ちてきそうな気配を察知するセンスも養いましょう。)
10. ピペットマン持っては日本一の 夢も大きなサイエンティスト 世界を相手に
 勇気を持って 中央突破を試みる 頑張れ! 強いぞ! 僕らの仲間 熊大.....
解説:研究をやっていると、海外の研究室との競争になることはしばしばです。毎日がオリンピックみたいなものです。昔懐かしいアニメの主題歌のメロディーに乗ってこの歌を口ずさみ、真っ向勝負を挑みましょう。)
11. 先生の背中 先輩の背中
解説:先生や先輩の姿から見習う点は多いものです。ノートの取り方、ポジティブ思考、転ばぬ先のコントロール、教えを請わなくとも盗み取りましょう。もちろん、見習わない方が良いこともありますが....)
12. 何は友あれ
解説:研究仲間は将来にわたって大切な存在です。コンビニ弁当を一人で食べるだけではなく、仲間と一緒にメシを食ったり酒を飲んだりしながら、研究のことや将来のことやくだらない世間話に花を咲かせましょう。将来、きっと自分の財産になるはずです。)
13. 聞くは一時の恥、聞かぬは一生(末代)の恥
解説:知らないことを恥じる必要はまったくありません。先生や先輩にドシドシ質問して自分の糧としましょう。質問せずにずっと知らないままでいることほど損なことはありません。聞く勇気を持ちましょう。)
14. 僕はここにいる
解説:研究をやっていく上で自己満足できるかどうかが最も重要ですが、他己満足(他人からの評価)が得られなければ研究を継続できません。自分の存在をどのぐらいアピールできるかはとっても大切です。自分の研究内容を人にわかりやすく伝えましょう。)
15. 古い船をいま動かせるのは 古い水夫じゃないだろう
解説:私自身は聞いたことはないのですが、よしだたくろうの「イメージの詩」の一節から。人それぞれに感じ方は違うと思いますが、何となく意味は伝わるでしょう。)
16. もう一息
もう一息と言ふ処でくたばつては
何事もものにならない。
もう一息
それにうちかつてもう一息
それにも打ち克つて
もう一息。
もう一息
もうだめだ
それをもう一息
勝利は大変だ
だがもう一息。
(武者小路実篤『もう一息』解説:京都大学の某先生がシンポジウム発表のスライドで使用されていました。研究ではこういったことが多々ありますね、とっても印象的でした。)

注)この頁は、京都大学薬学研究科・中山和久教授により執筆・改訂されたものを、同教授の了解の下、改訂・転載しています。