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今月の薬用植物
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2011年6月

ストロファンツス(Strophanthus sp.)
キョウチクトウ科(Apocynaceae)




この科は有毒植物が多く、そのため逆にその成分を利用した薬も開発されています。今回のストロファンツスはG-strophanthin等の強心配当体を含みます。効能として強心作用、利尿作用がありますが、一般の人が使うと死に至ることがあるので、注意が必要です。
 また、同じ科のインドジャボクもアルカロイドを含み、その成分のreserpineは降圧剤、中枢抑制による鎮静作用薬として、ajimalineは抗不整脈薬として用いられていました。
 他にキョウチクトウ科には、キョウチクトウ、ツルニチニチソウ、テイカカズラ等があります。そのままでは毒性が強く薬としては使いにくく、普通の人が使うとトラブルの原因ですので用いないで下さい。

 今、ハナショウブが咲いています。しょうぶ(菖蒲)、あやめ(菖蒲)と入力しても同じ漢字が出てきます。ハナショウブはアヤメ科、端午の節句に用いるショウブはサトイモ科(今はショウブ科)です。科も違いますので、花の形態が大きく異なります。

”くすだま”を漢字で書くと”薬玉”です。由来は、薬用植物の、ショウブとヨモギで玉(薬玉、くすりだま)をつくり、その玉をまず屋根にのせ、家内安全を祈願し、夕方には、それをお風呂に入れて、家族の無病息災を願ったことに由来すると言われています。

 ハガキは漢字で葉書と書きます。何故このような字なんだろうと思った方も多いと思います。植物の葉に、尖った木の先で、押さえながら字を書くと、10分位して書いた後が黒くなる木があります。タラヨウという少し厚めの大きい葉を持つ木です。含まれる成分は、生薬の地黄などと同じイリドイド配当体です。細胞が壊れることで、糖を加水分解する酵素が働き、イリドイド配当体の糖を切断します。その結果生成したヘミアセタール基をもつ化合物が重合し、褐色の化合物を作ります。これが字として見えてくるわけです。同じようにイリドイド配当体を葉に含む植物として、アオキ、トチュウがありますが、葉が薄いので、字を書いていると破れることが多く、厚い葉のタラヨウが葉書に用いられたようです。試しにタラヨウにお手紙を書いて、切手をはげないように貼って、投函してみて下さい。きちんと配達してくれると思います(絶対の保証はありません)。

 何度も書きますが、健康食品、薬用植物を良いからといって摂取しすぎないようにして下さい。普通では考えられないようないろんな障害が出ることがあります。

どれでも、ご自由にご利用ください!
"2011年6月カレンダー あまちゃ""2011年6月カレンダー すいか" 
"2011年6月カレンダー まりああざみ" 
 (いつも少し遅くなってすみません)


写真(2009年5月撮影 薬用植物園)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2011.6.3)
 
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, from 8, May, 2004



 
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