薬学教育部長のあいさつ

薬学教育部長 outline_name_k.gif

img_yakugaku_k.jpg

 熊本大学(熊薬)の歴史は今から約260年前の江戸時代に開設された「蕃滋園」という、細川藩の薬園(薬草園)に遡ることができます。日本で最も古い薬学と言っても過言ではありません。そして、明治18年に私立、熊本薬学校が設立されました。今年で丁度、130年になります。その後、変遷をへて、大正14年、日本で2カ所しか無い国立の、昔は官立と言いましたが、国立の薬学専門学校になりました。当時、薬の専門家を養成する薬学専門学校の多くは、調剤だけを専門とする薬学の専門家養成が中心でした。しかし、当時から、熊薬だけは、異なっていました。昭和20年、全国に先駆けて製薬学科の設置を行ないました。それは、薬剤師の養成だけでなく、創薬なども薬学の本来の使命であることを明示したものでした。昭和24年に熊本大学に統合された時には、薬剤学科と製薬学科の2学科制の薬学部としてスタートしました。その2学科制の流れが、現在の薬学科と創薬・生命薬科学科に継承されています。学生、卒業生である同窓生、先生方が一致で団結して、熊薬ファミリーであることを誇りに、130年に渡り、この学び舎を高い志を持って継承してきました。

 研究室の増設、大学院の設置、大学院医学薬学研究部(現在の生命科学研究部)への改組、実験研究棟、大江総合研究棟、宮本記念館の建設と、熊薬は質量ともに発展してきました。薬学系の研究室に加えて、発生医学研究所、生命資源研究・支援センターの研究者が薬学部の教育研究に参画され、国内でも最大規模の薬学部に成長しました。熊薬には、薬学部附属の創薬研究センター、育薬フロンティアセンター、薬用資源エコフロンティアセンターの3センターが設置されています。薬用資源エコフロンティアセンターが中心となって、キャンパス内が薬草満載という薬草パーク構想のための支援も計画されており、日本一薬学らしいキャンパスを目指して尽力しているところであります。さらに、今年には、薬学部附属DDS (Drug Delivery System)フロンティアセンターも新たに設置予定です。今、私たちは、新しい熊薬の創造に向けて一歩を踏み出そうとして頑張っています。

 熊本大学は、研究拠点大学であり、スーパーグローバル大学であり、また、本年より、熊薬では、未来の薬作りを目指す、創薬・生命薬科学科の学生を対象にしたグローバルエリート研究者養成プログラムもスタートします。PLEASEDプログラムといい、日本で唯一のプログラムです。さらに、熊薬では、学部卒業後の大学院においても、リーディング大学院プログラムもあり、皆さんの成長において素晴らしい環境があります。文部科学省から頂いたデータでは、熊大薬学部の科学研究費補助金の採択件数(平成18~23年度)は、全薬学分野の総計で全国国公私立大学薬学部のなかで第5位であります。創薬科学の部門での採択件数は全国の国立大学のなかで、熊薬が第1位であります。1人や2人のとびぬけた研究者がいるだけではこういう結果にはなりません。熊薬の全員が頑張っているということが示されたといってよいでしょう。

 今の医療では治療することが出来ない病気がまだまだ沢山あります。その難病に対する薬つくり、すなわち未来の薬作りの専門家の養成も熊薬の重要な使命であります。薬学部における研究は極めて重要です。創薬研究者は、ひとつ薬を作ることで、世界の苦しむ患者を同時に救うことができます。今まで救えなかった患者を救えるのは研究者しかいません。研究は本当に面白いです。研究者は、ワクワクする職業です。大学受験において学んで来たこと、教科書に書かれたことは、過去の研究者が見いだして来たことです。熊薬で行なっている研究は、教科書の次の新たな1ページを作ります。ゼロから1をつくる職業が研究者です。研究は日本だけではなく、世界が相手です。ゆえに研究者はグローバルな職業です。その研究者になる環境が、熊薬にはあります。

 熊薬では今後ますます研究に力を注いでいきます。研究するということは、研究を通して人材を育てるということです。世界で活躍する創薬や生命科学の研究者を、第一線の研究ができる薬剤師を育てます。熊薬の財産は人です。熊薬の将来は、これから伸びていく若い諸君の双肩にかかっています。私たちは、無限の可能性をもった若いエネルギーに期待し、全力で支援していきます。若い諸君には、本気で頑張って、大きくはばたいていただきたいと思います。