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今月の薬用植物

2014年1月

クサスギカズラ (Asparagus cochinchinensis (Lour.) Merr.)
ユリ科(Liliaceae)

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
夢を持ち、それが実現できる年でありますように、行動したいと思います。
一年の病邪を防ぐ屠蘇を飲まれましたか。

 昨年11月13日~18日、沖永良部島に出かけてきました。鹿児島県の離島振興「アイランドキャンパス事業」の、薬用植物の調査と宝物探しです。 "400余種の薬用植物"を小さな島の中で見つけました、スゴイですね。こんなにあるなんてと感動しながら作成した"報告書""写真1""写真2"を12月末に鹿児島県と沖永良部島に送りました。その調査の中で、フーチャ(潮吹き洞窟)の海水をいっぱい浴びて育つクサスギカズラを見つけました。クサスギカズラはアスパラガスの仲間で、肥大した根を生薬「天門冬(てんもんどう)」として漢方薬に用います。ジャノヒゲを原植物とする麦門冬(ばくもんどう)よりも寒性(冷やす力)の強い生薬で、肺を潤し、肺熱をさまし、乾いた痰を潤し痰の出を良くします。また便の出を良くする、強壮等の効果があります。漢方処方では清肺湯、滋陰降火湯に、麦門冬と共に、肺を潤す目的で配合されています。天門冬の性は寒、味は甘・苦で、寒性が強く、脾虚で食の細い人、冷えのひどい人には用いません。
 民間薬では、(1)咳止めを目的に天門冬の蜂蜜漬けの2~3個を小さく刻み、水(100~200cc)を加え沸騰させ、冷やして、煎液(大人は天門冬も一緒に)を1~2回に分けて服用します。(2)強壮には、天門冬を2~3ヶ月蜂蜜に漬けたものを、一日2~3個食べると良いといわれています。(3)浮腫には天門冬(乾燥したもの)10g位を刻んで水(150cc位)で煎じ、2~3回に分けて飲むと効果があるといわれています。
 生薬「天門冬」の作り方は、クサスギカズラの芽が出る春先に堀り、紡錘状の大きい貯蔵根を切り取り水洗いし、外皮を除去して、蒸し器で30分くらい蒸してから、天日で乾燥して作ります。根頭部は数個に分け、苗として植えておくと3年位で次の収穫が出来ます。中国では抗腫瘍活性があるとして用いられています。

 沖永良部島では、赤土が珊瑚の海に流出して魚・貝・海藻が捕れなくなったとお年寄りが言っていました。国の離島政策の一環である土地改良に翻弄されている地域のひとつです。しかし塩水にもまれて大変美味しい柑橘類、甘くて美味しい桑の実がありました。沖永良部の多くの宝物を大事に巧く広めてほしいなと感じました。
沖永良部で最も印象に残ったのは、「誰もが挨拶をして下さったこと」です。挨拶を気軽にしてくれる、ソロモン諸島の首都ホニャラ、スーダンの首都ハルツーム、ベトナムのホーチミンの田舎、ネパールの田舎、ブータンの田舎、ラオスの人々を思い出しました。
 今年も健康で一年が過ごせますように、皆さん心身をご自愛ください!!

 嘔吐下痢症が流行っています。もし、嘔吐下痢に罹ったら「五苓散(ごれいさん)」を、すぐ飲んで下さい(頓服)。子供は、大人の1/3位、乳児でも1/5位、大人の一回分を飲めば、症状が軽減します(1時間~2時間おきに飲む)。
 寒い時期、"カレー(カリー)"を食べて、身体を温め、胃腸を元気にし、風邪にかからない身体を作りませんか? 日本人はカレーライス(ライスカレー)が大好きですね。カレーを食べて心身を元気にし、寒い冬を乗り切って下さい。
カレーよりも身体を温めてくれるのが「鍋料理」です。鍋料理は、旬のいろんな食材を入れ、熱をかけると出来上がります。野菜(根、葉、茎、種子)、肉、魚介類の旨味がたっぷり出て美味しいですね。残った汁に御飯を入れてオジヤにするのも最高です。身体も心も温めて、風邪、ノロウイルス等に負けない心身を作って下さい。

「風邪は万病の元」 特に高齢者の方は:胃、肺を普通に保ち(元気に)、ラジオ体操を朝夕行い、身体を柔軟にして血流・体液(水)の流れを良くし、元気な一年をお過ごし下さい。

 八代で製造しているイグサの粉末(いぐさ野菜の粉)を飲むと、手の湿疹が改善された、血糖値が下がった、浮腫が少なくなった等という話しを聞きます。口内細菌に対して効果があるとして徳島大学歯学部の先生が実験を行って下さっており、良い結果が報告だれています。粉の販売は「HPの他、八代道の駅、大津道の駅、福田病院」で売っていますので、試してみて下さい。  ちなみに、私はイグサ粉末で寝る前に歯と歯茎を磨いていますが、歯茎が締まった感じが有ります。興味の有る方はお試し下さい。

ご自由にご利用ください!
"2014年  1月カレンダー サフラン"
"2014年  2月カレンダー クサスギカズラ"

写真(肥大根:2013年11月14日沖永良部島、花:2007年5月薬用植物園)
(資料,写真・文章責任: 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野)
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種)
                       (変更日:2013.12.31)

, from 8, May, 2004
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