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2013年6月

ギョウジャニンニク
    (Alloum victorialis (L.) subsp. platyphullum Hulten)
ユリ科(Liliaceae)


 5月中旬、まだ雪の残る北海道標津郡の知人から山菜採りに行きギョウジャニンニクを手に入れ、美味しく食べたとの写真入りのメールがありました。
 ギョウジャニンニクは北海道から裏日本の日本海側の能登半島に自生し、修行で山歩きをする行者がギョウジャニンニクを食べ、元気に修行に励んだことから名前がつけられたと言われています。北海道等では山菜としては人気ダントツのようです。
 しかし、身体が弱って火照りのある人が食べると、頭痛、吐き気、逆上せ(のぼせ)などが一層ひどくなるようですので、食べても少量にしておいた方が良いでしょう。また、新陳代謝の高い子供が食べると、鼻血、のぼせ、集中力が落ちるので、子供には与えないで下さい。
 ギョウジャニンニクの香りは名前のとおりニンニク臭がします。ニンニクと同様の作用があると言われ、滋養・強壮を目的に山菜として柔らかい4月末〜6月にかけて食べられます。また、少し硬くなっても食べることは可能です。
 食べるのは地上部の葉です。一度広島のお好み焼き屋さんでお好み焼きにギョウジャニンニク入ったのを食べました。最初はニンニク臭がしていましたが、多量に食べると本人は臭いが麻痺します。そのまま新幹線に乗って熊本まで帰りました。周りの人が何となく嫌な顔をしていたようですが、気にせず寝てしまいました。家に帰ってすぐ「ニンニク臭い何を食べたの」と言われ、新幹線での怪訝な顔はニンニク臭かと反省しましたが、後の祭りだったことを思い出します。
 家の庭に能登産のギョウジャニンニクが10株位、ポットに植わっていますが。増えもせず、年々少なくなっているような気がします。夏の暑さに弱いからでしょうか? 写真は家にあるものです。
 ニンニクを常食すると、血液が壊れ貧血になるというデータもあります。たまに食べるのは良いとして、毎日食べるのは控えた方が良いかもしれません。「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」でしょうか。

 暑くなると「寝冷え」をし、お腹を冷やし、夏風邪を引きます。夏風邪は冬の風邪と違い、熱は余り高くなく、流れるような鼻水、下痢などお腹の調子が悪くなります。腹を冷やさないように生活して下さい。子供は金太郎さんのような「腹当て」か、寅さんのような「腹巻き」をするとよいでしょう。中(臍の周り)を冷やさないようにすると夏風邪にはかかりにくいです。
 ただ、夏でもクーラーで冬の風邪(感冒)を引きますので、汗をかいてクーラーのきいた部屋に入り「首から腰のラインを冷やさない」ように注意しましょう。
 さらに、梅雨になると胃腸が弱ってきます。暑いからといって冷たいモノばかりを飲食せず、たまには温かい茶、スープを飲む、鍋料理でも食べて胃腸を温めましょう。胃腸を元気(元のエネルギー状態)にして、夏バテをしないように、これからの暑い日々をお過ごし下さい。皆様の御健康をお祈りします。

 追伸)
 1)暑くなり湿度が上がると食中毒が増えます。肝臓の悪い人は「6月〜9月」の
   暑くて菌の増える時期「生魚(特に汽水域の魚)を食べないようにして下さい」
   菌が肝臓を通り抜け、四肢で増え、壊死、死に至ることがあります。
 2)殺菌で一番良いのは加熱です。国土の広い中国の料理「中華料理」は、
   全て強い熱を加え料理してきました。これは食中毒の原因になる菌を殺す意味があります。
 3)薬味、スパイス等抗菌性に優れたモノと一緒に料理し、食べましょう。
   刺身、寿司につけるワサビはすばらしい抗菌剤です。
   さび抜きの寿司は、夏場は気を付けましょう!
 4)なるべく新鮮なものを食しましょう。まな板も良く殺菌して使いましょう。
 5)長く置いていて腐らないものには、何らかの化学物質が入っている可能性が高いです。
   余り食べない方が良いですね。
 6)「腐らないバター」として開発された「マーガリン」の歴史を知っていますか?
 7)100%安全、安心なものはありません。自分で確かめて利用しましょう!
   労を惜しまず、手抜きをしないで、中毒を防ぎましょう。
 8)唾液、胃酸には大変強い抗菌作用があります。良く噛んで、胃をいたわり、心身を調え、
   体調を普通にして、免疫力を調えましょう。
  

ご自由にご利用ください!
"2013年 6月カレンダー ハマナス"
"2013年 7月カレンダー ビヨウヤナギ&キンシバイ"


写真(花:2013年5月13日 菊陽町の家にて)
(資料,写真・文章責任: 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種)
                       (変更日:2013.6.3)
 
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, from 8, May, 2004



 
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