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今月の薬用植物
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2012年6月

ジャーマンカモミール(Matricaria recutitaL)
キク科(Asteraceae (Compositae))



 最近はカモマイル (Camomile)、カミツレと言われることが多くなりました。ヨーロッパで薬用・ハーブとして用いられるものは主に、ジャーマンカモミールとローマンカモミール (Chamaemelum nobil)の2つで、北ヨーロッパ、西アジア原産と言われているが、日本でも栽培されています。カミツレはオランダ語の「Kamille」が語源とされ、カミルレが正しいと思いますが、どこかでカミツレに変化したものと思われます。
 ヨーロッパでハーブとして最も良く使われる植物の一つです。良く乾燥した、新しく、香りの良いものが良品ですが、時間が経つと湿気と酸素、それにボリフェノールオキシダーゼ(酵素)により褐変し、香りも弱くなります。花(頭状花)を薬用とし、成分としては精油成分(0.5〜1.0 %): matricin, l-α-bisabolol(α-(-)-bisabolol), chamozulene等を含みます。セスキテルルペンのl-α-bisabolol, chamozuleneには抗炎症作用があることが分かっています。効能として、消炎、健胃、鎮痛、発汗などを目的に内服されます。外用としては、切り傷、皮膚炎、結膜炎、アレルギーによる皮膚のかぶれ、歯痛、口内炎、おむつかぶれ等に用いられ、少し濃く(濃いめに)煎じた液を塗布すると効果があります。また、ハーブティーとして飲用すると軽度の精神不安、イライラなどによる睡眠障害、ストレス解消の作用が期待されます。
 ただし、小児・18才以下の飲用については少量にとどめ、無理に飲まないほうが良いとの報告も有ります。さらにカモミールの製品に不純物(混合物)が含まれていることが有り、それによる副作用も報告されていますので注意が必要です。また、傾眠作用が有るので、車を運転する前には飲まないほうがよいと思もわれます。

 2年生の薬用植物学演習の時、カモミールティーを作って飲んでみたら、香りが良く少し甘みが有り美味しかったのを思い出します。ただ、開封し時間が経つと花が褐変し、少し酸っぱく感じるのは湿気と酸化のせいだろうか?(開封したら、乾燥剤を入れ密封し、冷暗所に保存することが肝要です)

 昨今、良く眠れないという学生さんが多くなったように感じます。昼食時、生協でカモミールティーを提供するのも良いかなと勝手に思っています。ただ、昼食の時に飲むと、昼からの講義で居眠りが増えると困りますが。

ストレスの多い時代、夕食後に、カモミールティーを一杯、飲むのは如何でしょうか?


ご自由にご利用ください!
"2012年6月カレンダー カミツレ"
"2012年7月カレンダー 除虫菊"

"毎日新聞で開催して下さいました。"ありがとうございます。嬉しいです。

"ソロモン諸島からの留学生来園"(2012年6月2日撮影)来日して2ヶ月ですが、上手に箸を使ってお好み焼きを食べていました。お好み焼きは初めてだそうです。日本語も少し話せるようになっていました。
右は昨年10月に来日したネパールからの留学生。

"阿蘇をバックにケシの花"(2021年6月3日撮影)植えてはいけない薬用のケシです。
知らない人は、わ〜〜奇麗と言っていました。


写真(薬用植物園2012.5.17 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2012.6.5)
 
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, from 8, May, 2004



 
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