熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2013年4月

ユスラウメ
    (Microcerasus tomentosa (Thunb.) G.V.Eremin et Yushev)
バラ科(Rosaceae)


 ご入学おめでとうございます。進学おめでとうございます。
      目標をきちんと持って勉強に励んで下さい。


 環境が変わるとストレスも増えますね。アパート暮らしを始めると食事がつい疎かになりがちです。食は元気(エネルギー)の源、また身体を営(えい)・衛(えい)する元でもあります。食のバランスに気を付けて未病(病に向かう状態)の段階で病を防いで下さい。これが医療、薬学の基本です。
 もう一つ、何故西洋薬には身体を温める薬が少ないのか、胃を痛める薬が多いのか?? 皆さん考え、どう対処すれば良いのか勉強しておいて下さい。4年次の漢方概論でお会いできるのを楽しみにしています。
 それに比べ科学がなかった時代に出来た漢方薬は胃腸(脾胃)が元気(普通の状態)でないと吸収しないと考え、胃腸を整える薬(生薬)を処方に配合し、また、冷えに対応する、温める処方も1/3位あります。

 少し前置きが長くなりました。今月の薬用植物は「ユスラウメ」です。熊本市内では3月中頃に花を咲かせ、6月に赤い実が熟します。丁度田植えの時期に実を付けます。子供の頃、庭に実るユスラウメの実を食べたのを思い出します。和名の由来は、花が沢山ついて風で揺れる「ユスルル(動)」から名付けられたと書かれた本を見つけました。外国語では英語で「Nanking cherry, Chinese bush cherry、中国語で「英桃」と言われています。
 利用法は果肉を食べると甘くて美味しいので滋養に。しかし食べ過ぎるとお腹を壊します。また果実を果実酒にすると色が綺麗ですね。ユスラウメの薬用名は「山桜桃(さんおうとう)」と言います。果実酒には疲労回復など、果肉にも疲労回復、下痢を治す。硬い種子の中の種(仁)(山桜桃核)は麻疹などの発疹を促し、治りを早めるなどと記してあります。
 昨今いろんな良い薬も出ていますので、あえて使うことはありませんが、もしかすると、果実酒で元気が出る人がいるかもしれませんね。もし元気になった人がいたら教えて下さい。同じ仲間で "ニワウメ"(右:ニワウメ、中央:ユスラウメ、左:ボケ)とういのがあります。ユスラウメと同じ時期に咲き、花はピンク、実は苦いです。仁を便秘、利尿等に用いると書いてあります。

 今年は花の咲くのが早いですね。3/29に一心行の桜が満開になったり、薬用植物園の管理棟(東門の近く)の西にあるトキワマンサクが満開、トビカズラ(アイラトビカズラの仲間)も大分咲くなど開花が早過ぎます。少し自然がおかしいと人も体調を壊しがちです。心と身体のバランスを狂わせないように気を付けて下さい。   

ご自由にご利用ください!
"2013年 4月カレンダー アンズ"
"2013年 5月カレンダー シャクヤク"


写真(花:2013年3月 薬用植物園にて、果実:磯田 進氏(昭和大学薬用植物園)提供)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター)
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),
                       (変更日:2013.4.2)
 
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, from 8, May, 2004



 
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