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今月の薬用植物
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2012年2月

セリ(Oenanthe javanica (Blume) DC.)
セリ科(Apiaceae)


       「雨が降る 水が育む 自然かな」(河童のはげ)

 入れ替えが遅くなりました。立春も過ぎ、雪が少し暖かい雨に変わってきました。水はH20と学びますが、私たちは普段から飲んでいる水には、多くの無機物、有機物が入っています。有機物というと環境ホルモン、無機物と言うと重金属を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、私たちの身体、農作物、自然の動植物、地球上の生き物に必要なものも沢山含み、山〜田畑〜海〜空を循環しています。水が良い、悪いという表現をしますが、どこまで判っているのでしょうか?
 今月は、水生植物の「セリ」です。多年草植物で「ひご野菜指定15品目」に水前寺セリ(提供熊本市)として入っています。細かく言うと、水前寺公園から流れ出す、湧水の水で育つセリを「水前寺セリ」と言っていますが、自然にあるセリと同じです。
 ご存知のように春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)に入っています。薬草としては全草を用い、味は甘辛、性質は涼です。効能は、中国の本には、清熱、水を利す作用が有り、発熱、黄疸、水腫、耳下腺炎などに、また、日本の民間薬では、健胃、整腸の作用が有ると言われています。しかし、胃腸の虚弱な人、お腹の冷えの強い人は食べてはいけないと記してあります。これは、セリの性質が涼性で、冷やすからです。炎症を起こしている、胃腸炎には良いと思います。
 このように、食品、民間薬、漢方薬にも、それぞれの性質があります。冷やすモノを、身体が冷えているとき、冷えて、水が停滞して浮腫みなどが有るとき、胃腸が悪いときに、食したり・用いてはいけません。また逆に温めるモノを身体に熱が有る人、基礎代謝の高い子供さんに与えると、炎症がひどくなったり、また鼻血を出したり、のぼせたりしますので。注意して下さい。

 話しが少しかわりますが、温泉の湯船に入る時、頭にタオルを乗せる人がいます。内風呂に入る時は、タオルは水で湿められたモノを乗せ、頭を冷やしのぼせて湯当たりするのを防ぎ、露天風呂に冬入る時は、暖かいタオルを頭に乗せ、頭が冷えすぎるのを防ぐ、この考えは漢方の考え、また昔の人の生活の知恵からです。
 生活の知恵、オバアちゃんの知恵は、全て「経験的統計学」によるものです。昨今「料理を科学する」ことが流行しているとか。30年以上前に料理を科学する本を買って読んだものです。薬学で学んでいることが応用できると思ったのを憶えています。
 
 春の七草の「ホトケノザ」はコオニタビラコですが、本当のホトケノザ(Lamium amplexicaule L.、シソ科オドリコソウ属)が咲き出しました。また、種子から発芽したものがびっしりと生えています。有毒ですので間違えて食べないで下さい。
 
★正月に学内のメールで皆様に花便りを2回送信しました。画質が大きかったので大変失礼しました。その折、携帯に転送する方が居られるので迷惑になるとのおしかりのメールを頂きました。学内の皆様、大変ご迷惑をおかけしますが、「yaharas1@gpo.kumamoto-u.ac.jpからのメールを携帯に転送しないように受信拒否のセット」をしていただけますと幸いです。画像の大きなものを受信されますと携帯の受信料がかさみますので、大変お手数をおかけしますが、ご配慮をお願いします。

ご自由にご利用ください!
"2012年2月カレンダー クサギ芽"
"2012年3月カレンダー ノシラン実"

写真(2011年7月 小国北里で 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2012.1.5)
 
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, from 8, May, 2004



 
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