熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2007年1月

ナズナ(Capsella bursa-past )
アブラナ科(Cruciferae)


明けましておめでとうございます.今年も宜しくお願いいたします.


”『ノロウイルス等による下痢には,まず”五苓散”を頓服すると,軽減するはずです』.私は夜に下痢が始まり朝までに五苓散を3回飲んで下痢を止めました.余りのも下痢がひどかったので3回目には黄連解毒湯も一緒に飲みました.”

『ペンペンの草,吸い物,あえ物,おひたしに 』(河童)

 今年最初の薬用植物は春の七草のナズナ(薺)です.別名ペンペン草とも言います.雑草と言われる名前の無い植物も,きちんと名前が有ります.
 ぺんぺん草と言われるナズナは中国の古書「本草綱目」に”五臓を利し,目を明らかにし,胃を益す”とあり,薬用として用いられていることが記されています.民間薬では目の充血に乾燥全草10gを水200ccで煎じて濾し,人肌まで冷まして洗眼します.他に利尿,解熱,止血,高血圧等には10〜15gを500ccの水で半量まで煎じて服用します.また,下痢,腹痛には葉や根を黒焼にして用いると言われています.
 ぺんぺん草の名の由来は,ナズナの果実が三角形の形をして,三味線のバチに似ていることからついたと言われています.春の七草(セリ,ナズナ,ゴギョウ,ハコベラ,ホトケノザ,スズナ,スズシロ)の七草粥は,年末年始で疲れた胃腸を休ませ,更に調子を整えてくれる野菜(薬用植物)が入っています(現在は飽食の時代,胃腸を休めるには断食の方が良いのかもしれません).
 人の胃は,車に例えるとエンジンです.車もエンジンがおかしいと調子が悪いですね.胃のチューンアップは日頃から怠らないようにしましょう.胃腸の疲れを持ち越すと,一年の体調が整いません.
 セリ,ナズナ,ゴギョウ,ハコベラ,ホトケノザ,スズナ,スズシロと言える人も多いと思います. セリ:健胃,整腸等.ナズナ(ペンペン草):目の充血,利尿等.ゴギョウ(ハハコグサ):咳,痰等.ハコベ(ヒヨコ草):歯茎の出血等.ホトケノザ(コオニタビラコ):解熱,解毒,潰瘍等.スズナ(カブ):利尿,便秘等.スズシロ(大根):健胃,せき止め,冷え性等に効果があります.こう書くとすごいなと思われる方もおられると思いますが,セリ,カブ,ダイコンは普通の野菜として食べています.他は雑草(名前はあっても,いらない草)ですね.七草粥は,七草にこだわらず,畑(冷蔵庫)にある旬の野菜で粥を作り,胃腸を休める食養生です.平安時代から始まりました.現在は1月7日に行われますが,本当は旧暦ですので2月中旬ですね.この時期になると植物もだいぶ芽を出している頃です.
 旬のものを旬に食べる,地元の物を食べることが,生産者が見え,安全・安心で,生産物移動のエネルギーをあまり使わない環境に優しい食生活です.日本の食文化を大事にしたいですね.

2007年1月のカレンダー
A5サイズ横で印刷できます.
1月のカレンダー裏表
2月のカレンダー裏表(とうわた).  

写真(ナズナ 2006年12月27日 薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2006.12.30)
 
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, from 8, May, 2004



 
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