熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2012年7月

ヤマモモ(Morella rubra Lour. (Myrica rubra Siebold et Zucc.)
ヤマモモ科(Myricaceae)



 7月7日は七夕ですね。あなたは何を願いますか? 
私は、1)スーダンのロシナンテスの医療が早く再会されますように。2)心身ともに普通でありますように、3)実験が予定通り終わりますように、です。
 今月の薬用植物は、もう実も終わりかけていますが「ヤマモモ」です。6/25の「漢方とハーブ」の勉強会で皆さんに食べてもらったら、意外と好評でした。若い人は酸っぱい、甘酸っぱい等と言いながら二個目には手が出なかったようです。
 ヤマモモは梅雨の時期、忘れた頃に実が黒赤色に熟し、雨の重さで落ちます。少し松脂の匂がする甘酸っぱい味です。焼酎に漬けると奇麗な赤色になり、美味しそうです。雌雄異種の常緑高木で街路樹にも植えられています。ホルトノキと間違われることが多いのですが、葉の色をよく観ると違います。ホルトノキは所々に赤い葉が観られるのが特徴です。
 薬用は果実、樹皮を用い、果実を楊梅(ようばい)、樹皮を楊梅皮(ようばいひ)と言います。楊梅は、味は甘酸、性質は温で、効能は、渇きを除く、胃腸の調子を整えるなどの作用で、下痢、嘔吐などに、樹皮は、味は苦く渋い、性質は温で、下痢と便秘が交互に繰り返す胃腸障害、打撲・ねんざ、火傷、歯痛などに用いられました。今はほとんど薬用として用いる人はいません。
 生薬名の楊梅は丸い実という意味だそうです。楊貴妃に関係あるのかなと思って調べたら違っていました。
ヤマモモは本州中部以西〜沖縄にかけて自生します。徳島県ではヤマモモを県の木に指定し、栽培面積・生産量とも全国一です。生食、ワイン、ジュース、ジャムなどに加工され楽しめます。生食用の出荷は6月〜7月ですね。
 ヤマモモの実を取るときは、木が折れやすいので注意して下さい。また、鳥、虫を狙って蛇が昇っていることも有ります。もし木を植えるときは雌木を選ぶと初夏に甘酸っぱい果実が楽しめます。ただし、果実の色素はアントシアンで服等に着くと落ちにくいので採取は汚れても良い服を着て行いましょう。また、ジュース、ジャムを作るときは、クエン酸等を入れ酸性にすると奇麗な赤色が長時間保てます。アントシアン色素を含む果実が少し酸っぱいのは植物が得た知恵かもしれません。皆さんも植物の知恵を再認識してみませんか!!

 今年も学生実習でナツメの葉でチョコレートの甘みを消す実験をしてもらいました。安いチョコレートは砂糖が最も多く次がカカオマス、カカオバターです。ナツメの葉の成分で舌の上をコーティングした後、甘いチョコレートがビターチョコの味に変わって「美味しく無〜〜い」の声。その後15分位してステビアの成分、甘味剤ステビオサイド誘導体(砂糖の100倍/重量比)をほんの少しなめてもらいますと「苦いが第一声」(甘みも強すぎると苦味に感じます)。少しして「すごく甘い」との声が。舌で甘みを感じやすいのは少し入った両サイド、舌の先は苦味を感じやすいので、試しになめるときは舌の先を本能的に使います。苦いものには作用の強い成分・有毒成分が多いので、すぐ吐出すためにそうなったのでしょうか??ちょっとした実験で忘れている五感を感じることが出来ます。

消化器系(胃腸)は「湿気に弱い」ので、この時期「胃腸の調子がおかしくなる」人が多いです。これが夏バテにもつながります。
一週間に一度ぐらい「鍋料理を食べ」、胃を温め、汗を一杯かいて下さい。夏バテ防止には「汗をかきながらの鍋料理」です。お試し下さい!!

ご自由にご利用ください!
"2012年7月カレンダー 除虫菊"
"2012年8月カレンダー ソロモンの浜辺"

"ソロモン諸島からの留学生(左)来園"(2012年6月2日撮影)彼は、来日して3ヶ月ですが、上手に箸を使ってお好み焼きを食べていました。6/26にもソロモン諸島で薬用植物調査で一緒にした渡邊先生(高知工科大学)が来られたので夕食を一緒に食べました。美味しかったのは「焼うどん」だそうです。
右は昨年10月に来日したネパールからの留学生。


写真(果実2012年6月(家)、花2011年4月(大牟田)にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2012.7.2)
 
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, from 8, May, 2004



 
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