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今月の薬用植物
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2008年9月

スベリヒユ(Portulaca oleracea L. )
スベリヒユ科(Portulacaceae)




『大雨に 河童飛ぶ 何が起こるか 分からぬ世界』(河童)

 今月の薬用植物はスベリヒユです。踏んづけられてもへこたれないのが大好きです。
いま奇麗な花を咲かせているポーチュラカはスベリヒユの改良種で、科名のラテン名より名付けられたものです。
 スベリヒユは食用にも薬用にも用います。私の友人で虫刺されの特効薬として用いている先生もいます(ちなみに私の特効薬はヤブガラシです)。民間薬では、毒虫による痒みに生葉の汁を、利尿に乾燥した地上部を用います。
 中国では、全草を”馬歯見(本当は”草冠に見”の字)(ma shi xian)"と言い、性味:酸、寒、無毒。薬効は清熱し解毒する、血を散らし腫れを消す等の効果が書かれています。寒性なので、胃腸(脾胃)が虚弱で冷の有る者には用いてはいけないと書いてあります。臨床応用では、乾燥した茎葉を煎じるか、そのまま食すと、細菌性下痢の予防になるとも書かれている。
 成分としては、多糖、Oleraceine A-Eのアルカロイド(右の構造式)、genistein, daizein等のイソフラボノイド類、myricetin, quercetin等のフラボノイド類の報告があり、中国の研究者を中心に抗菌性に注目した1000報を越す多くの報告が見られ、特にこの数年の報告が多く、雑草がとんでもないモノに化ける可能性を秘めています。
 やはり創薬のためには天然からのリード化合物の探索、その成分解明をもっと幅広くすべきだと改めて感じました。人は自然のサイクルの中の一部でしか有りません。自然を変え壊すことよりも、もっともっと自然に調和することを学ぶべきではないでしょうか。

 食用では、HPを検索すると多くの料理が出てきます。例えば、スベリヒユ地上部を軽くゆで、酢みそ和え、醤油や生姜醤油、マヨネーズ、ニンニク醤油をかけて食べるなど、色々出ててきます。畑の雑草を用いた楽しい料理教室を経験できます。

 今年は暦通りの秋が来ました。昨年と違い朝夕は非常に涼しく、寝冷えをしそうで、腹巻きをしたほうが良さそうですね。天津で買った”お尻丸出しで、腹当をした子供の土人形”をつい見てしまいました。漢方でいう”中(腹)”を冷やすと、臓腑の働きがおかしくなり体調を壊します。冬の風邪は背中から、夏の風邪はお腹からですね。寝冷えをして夏バテに拍車をかけないように注意して下さい。
 学部学生さんの夏休みも残り一ヶ月(9月30日まで)、何をして楽しんでいるのでしょうか? 大学院生は 9月から研究開始です。

 天然薬物学分野(旧 生薬学研究室、私の古巣です、17年いました。)、生化学分野の教授募集が7月24日から始まっていました。私は8月27日まで知りませんでした(お恥ずかしい話)。締め切り9月30日。忙しくなりそうです。


写真(2007年9月7日、阿蘇中松駅近く)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、民族植物学、環境保全・育種),変更日:2008.8.30)
 
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, from 8, May, 2004



 
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