熊本大学薬学部
 
  トップページ / 今月の薬用植物 / バックナンバー一覧 / バックナンバー
ワード検索
今月の薬用植物 今月の薬用植物トップ
バックナンバー薬用植物園

2002年10月

やぶがらし (Cayratia japonica Gagn.)
ぶどう科 (Vitaceae)


蚊に刺され慌てて探すヤブガラシ(河童)
 熊本市内は夏も終りです.阿蘇は秋の終りを迎えています.阿蘇では稲刈りもほとんど終わり,早稲のミカンが店頭に並んでいます.柿が色づいてきました.ザクロも口をパックリと開け美味しそうな赤い実がみえます.カリンも少しずつ黄色に色づいています.立田山の夏の森に行くと,桂の葉からマルト−ルの香りが漂っていました.
 前置きが長くなりましたが,今月は,雑草の王様のような”ヤブガラシ”です.9月に数度イラガの幼虫, (イラガ2)に触ってしましました.すぐヤブガラシを探し根茎を揉んで塗り付けますと,数分で痒みがとまります.効く人と効かない人が有りますが,私は良く効いてくれますので重宝しています.8/19の高校生のオ−プンキャンパス(700名強来校)で薬草園を説明していましたら,蚊の襲撃に遭いました.余りにもかわいそうなので,ヤブガラシの根茎を抜いて揉んでつけるように言いましたら,チャレンジしていました.その後痒いとも言わなかったので,効いたのでしょう.ただ泥がついていますので,少々汚れるのが難点です.清潔好きの日本人には向きませんね.
分布はインド,東南アジア,中国,日本となっています.名前の由来は『薮』を『枯らす』ほど繁茂することからきています.日当たりのよい森林,大学構内など至る所にはえています.蔓性で木々に絡みつきます.葉は薬用ニンジンの葉に似て,写真右のように5枚の小葉ですので,アマチャズルが薬用として流行ったとき,間違えてヤブガラシをトラック一杯採ってきて大喜びしていた人がいたと聞きました.花は7月から9月にかけて咲きますが,小さいのと開花時間が短いので余り目立ちません.果実も小さく球形の液果で黒く熟します.根はウレンボ(烏斂苺,Cayratiae Radix)と呼び,消炎,解毒,鎮痛,利尿薬として,煎汁を内服するか,すりつぶした液汁を外用として,各種の浮腫,化膿等にもちいる.また,蛇,蜂,ムカデなどの咬傷にも茎,葉の生汁をつけると良いと言われる.中国では民間薬的に用い,各種化膿,肺結核,関節リウマチ等に用いるようです.
 雑草も薬になる例の一つである.身近に沢山の薬草があります.
10月14日は”薬用植物を知ろうネットワ−ク”のメンバ−を講師に迎え,”薬用植物観察会in熊本”を熊本市黒髪の立田山で行う予定です.講師は,薬草園関係の方々で,北海道,東京,広島,種子島から来られます.参加希望の方は,FAX (096-371-4639)又は往復葉書で矢原までお申し込み下さい.
10月13日は医学部第一講義室で”サプリメントと薬草の話”(講師:佐竹,関田,神田)があります.問い合わせは,熊本県薬剤師会まで.


写真2002年9月熊薬構内にて撮影(矢原)
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学・創薬 基盤分子 設計学講座・矢原 正治,2002.8)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

トップページへ戻る


 
当ウェブサイトの著作権は、熊本大学薬学部に属します。 掲載内容および画像などの無断転載を禁止します。
熊本大学ホームページへ 医学薬学研究部へ サイト案内