熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2007年4月

”御入学、御進学 おめでとうございます”

わさび(Wasabia japonica Matsum.)
あぶらな科(Cruciferae)



『葉ワサビを 取りに行ったが 根こそぎに 持っていく人 後を絶たず 残り少なく指を折る』(河童)

 早々にトキワマンサクの花が満開です.アイラトビカズラも4/4には咲きだしました.も今日(4/1)の雨風で花吹雪が舞っています.昨日との気温差10度位、人も植物も大変です.桜が4月4日の入学式まで待ってくれると嬉しいのですが.
 今月は、ワサビです.大変身近な植物ですが、花を知らない人がほとんどではないでしょうか.
ワサビには、非常に強い抗菌作用が有ります.その作用を巧みに利用したのが日本人です.生の魚介類を食べるときには、食中毒が大変恐いので、抗菌作用の強いワサビと一緒に食べるわけです.またワサビには食欲増進作用、血栓の生成を抑制する効果が有ります.
 ワサビと言えば根茎の部分だけを思い浮かべるでしょうが、茎葉も大変美味しく、ワサビ茎葉を醤油で和えると格別です.作り方は:1)ワサビ茎葉を水洗いする.2)60度位のお湯にワサビ茎葉を入れ、3)1分ぐらいして鍋の蓋をしたたまお湯を素早く捨てる.4)鍋に蓋をした状態で蓋と鍋の底に当たるように強く振る.5)開けるとツーとした香りがします.適当に切り、醤油・味醂などで味を調え、密封出来る容器に保存する.
 ワサビは、そのままでは辛くありません(シニグリンなどを含む).すりおろすことで、細胞が壊れ、中にある酵素(βグルコシダーゼの仲間のミロシナーゼ)が働き、右上の構造式で示す反応が起こり、シニグリンが、アリルイソチオシアネートという化合物に変化し、辛みのツーとした香りがします.酵素は35度〜40度位の温度で良く働きます.それを利用したのがワサビ茎葉醤油漬の作り方です.温度と巧く細胞をこわすことがコツです.
 鏡餅のカビが生えやすいところに薄くワサビ(練りワサビで良い)を塗っておくとカビが生えにくいです.今年の暮れにでもお試しください.
★注意)もし山に行ってワサビの茎葉を取るときに、根茎は絶対に取らないでください.取ってしまうと来年は茎葉を取ることが出来ません.また、野生の根茎には線虫が入って黒くなり、美味しいすりワサビは出来ません.目先のことだけを考えないで、長く楽しむ方法で美味しい食事をしましょう.

4月8日は、お釈迦様の誕生日を祝う”花祭り”です.アマチャのお茶でお祝いをしましょう.

4月のカレンダー(アンズ)    

写真(市販の 畑わさび 2007年2月 薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室) 矢原 正治,2007.4.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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