熊本大学薬学部
 
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2004年1月

せんだん(Melia azedarach)
せんだん科(Meliaceae)


『ヒマラヤのチャイの香りに雪が舞う』(河童)
 昨年暮れは、雪がちらほらと舞ったぐらいで、市内は積りませんでしたが、霜は毎日降りています.植物達は寒さに耐えています.その中でオウレンが早々と花を咲かせています.皆様良い新年をお迎えのことお慶び申し上げます.
 2004年の最初は、センダンです.熊本では花を4月に咲きます.昨年2月ネパールのインド国境付近でニーム(インドセンダン)を見ました.葉は緑々として、種子が一杯ついていました.日本のセンダンもこの時期は実を一杯つけていますので目立ちます.センダンは寒いのは嫌いなようで、東北地方、北海道には無いようです.
 薬用としては、果実を、”楝実(レンジツ)”と言い、神農本草経[後漢の時代にまとめられた.生薬が365種収載され、上薬(生命を養う、中薬(性を養う)、下薬(病を治す.毒性も強い)に分類]の下品に収載されています.楝実は、センダン又はトウセンダン (Melia toosendan)の果実を用い、主に、冬に寒気にあてられたのに、すぐに発病せず、春になってその陽気に動かされて発病する温疾などに、更に、回虫等の寄生虫を殺す作用が有るとされています.又、樹皮を、苦楝皮(クレンピ)と言い、種子よりも殺虫作用が強いとされています.
 成分としては、多種の苦味トリテルペン及びクマリン誘導体等の報告が有ります.
民間薬として、熟した果肉をヒビ、アカギレ、シモヤケの患部にぬる.虫下しに、乾燥した樹皮(6-10 g)を煎じて一日2回朝夕空腹時に飲む等のように用いられていました.戦時中、野戦病院でセンダンの皮を煎じて飲ませたらウドンの様な回虫がいっぱい出てきたと、80才ぐらいの薬剤師の方がセンダンの木を見つけたら言われます.昔は村に一本は有りましたね.又、トイレの傍に有ったのがナンテンです.ナンテンは蛆(ハエの幼虫)を殺し、また葉には食中毒などの毒を消す作用が有ります.今は衛生状態が良く又水洗便所ですので、見かけませんが.センダンは果実を鳥が食べて運んでくれ、成長も早いので、あちこちで大きくなっています.
 風邪が流行ってきました.背中がゾクと来たら、すぐ身体を温めて、汗をジワーと出し、特に背中が冷えないように温めて養生を半日もすれば治ります.ゾクと来て、3時間以内に葛根湯を飲み、汗がジワーと出ると100%近く治るようです.6時間経つと70%位に落ちるようです.風邪は早い治療から.その前に、身体を冷やさないような養生が大事ですね.  

写真2001年4月(花)、2003年12月29日(実)(熊本大学薬学教育部附属・薬用植物園にて)撮影
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)・矢原 正治,2003.12.29)
 
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