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2002年11月

ひなたのいのこずち (Achyranthes fauriei Lev. et Van)
ひゆ科 (Amaranthaceae)


野にはいり ふくにおまけの 里の秋(河童)
 薬学を学んだ人がイノコズチと聞くと,成分の昆虫変態ホルモンのecdysterone,あるいは生薬名の牛膝(ゴシツ,Achyranthis Radix),漢方処方の牛車腎気丸,疎経活血湯,牛膝散を思い出すのでしょう.普通の人は,秋に草原を歩くと服にくっつく種子を思い浮かべるのでしょうか? イノコズチの写真を見て”あなたは何を思い浮かべますか?”
 生薬,牛膝は,ヒナタノイノコズチの根を乾燥したもので,駆お血,利尿等に用います.漢方処方の牛車腎気丸(熟地黄24,山薬12,山茱萸12,沢瀉9,茯苓9,牡丹皮9,桂皮(肉桂)3,炮附子3,牛膝6,車前子9)(数字は,gで,中医より.一日分)は,八味地黄丸の桂枝を温補腎陽の桂皮に,利水消腫の牛膝,車前子を加え,腎の利水を強めたもので,老齢者の下肢痛,腰痛,排尿困難など,足の冷え,麻痺が有るときに用いるとされています.
 写真右の”ひなた””ひかげ”と書いてるのはヒナタノイノコズチ,ヒカゲノイノコズチのことです.種子での見分け方を,昭和大学薬学部薬草園の磯田先生に教わりました.ここをクリックすると模式図かでます.小さな部分ですが ”包”の大きさが違います.実物をよく観ると分かります.日の当たっているところにあるのはほとんどがヒナタノイノコズチです.
 今回のイノコズチも先月のヤブガラシ同様,雑草です.雑草も薬になる例の一つです.身近に沢山の薬草があります.『雑草』:穀類以外,及び人間が必要とする植物以外のものを雑草といいます.穀類でも,粟,稗等は雑穀といわれ,米,麦は穀類ですね.近年,食と地域性,環境を考えるとき,雑穀が各種栄養面,さらには生産,環境面からも見直されています.雑草も見直すべきなのかもしれません.『雑』『テロ』これらの言葉はどのような意味でしょうか? 現在の主たるものでなく不要なもの,不当なものにつける言葉でしょうか.何でもかんでもテロで片付ける時代,雑XXで片付ける時代は嫌ですね.何も言えなくなります.
10月14日には”薬用植物を知ろうネットワ−ク”のメンバ−を講師に迎え,”第一回薬用植物観察会in熊本”を熊本市黒髪の立田山で行いました.74名の方々が参加されました.毎年開催したいですね!


写真左2002年10月立田山にて,右2001年10月撮影,
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学・創薬 基盤分子 設計学講座・矢原 正治,2002.10)

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