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入江教授らの研究成果「難病治療に添加物(シクロデキストリン)を投与」が熊本日日新聞に紹介されました(平成26年1月24日)

新聞記事の紹介

 

遺伝子の異常により、重い神経症状などが出て10歳前後で患者の多くが亡くなる「ニーマン・ピック病C型」。熊本大大学院生命科学研究部(薬剤情報分析学分野)の大学院生、田中雄太さん(28)と入江徹美教授(58)らが、症状の進行を遅らせるとして、特例で投与が認められているシクロデキストリンの安全性を確認する研究を進めている。


この病気は、細胞内で脂質の輸送に関わるタンパク質が作られず、細胞内にコレステロールが蓄積し機能を失う。脳などに障害を及ぼし、神経症状や歩行・嚥下[えんげ]障害などが出る。有効な治療法がなく、厚生労働省が特定疾患に指定。患者数は国内に十数人で、県内でも最近1人が確認されたという。


ブドウ糖が環状につながったシクロデキストリンは、食品や医薬品などに広く使われる添加物。2009年、患者の女児に対する投与が佐賀大で始まった。過去に研究した経験がある入江教授らが同大の依頼を受け、有効性や安全性の研究をスタートした。


田中さんは、病気を再現したマウスなどに、体重1キロ当たり20グラムと極めて高い濃度のシクロデキストリンを投与した。健康なマウスでは多臓器不全などの症状が出た一方、再現マウスではそうした症状が起きなかった。


シクロデキストリンはコレステロールと結び付きやすく、健康なマウスの細胞から、必要なコレステロールを奪うと考えられるという。グループは詳しいメカニズムの解明などを進めている。


入江教授らは「患者や家族の期待が大きく、1日も早く薬として使えるようにしたい」と話している。
成果は、先天性代謝異常に関する海外学会誌に掲載された。(山口尚久)

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