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研究成果

新規抗菌物質の発見と新薬への応用についての論文がFASEB Journalに発表されました(医療薬剤学分野)

   抗生物質が効かない多剤耐性菌の出現や細菌兵器の開発など、世界中が感染症の脅威に曝されている。一方、その切り札となる新規抗菌薬の開発は滞っている現状にある。

熊本大学薬学部(医療薬剤学分野) の丸山徹教授と崇城大学薬学部の小田切優樹教授を主としたグループ(熊本大学薬学部:異島 優助教、渡辺佳織修士)は、感染時の生体防御システムを解析していく中で、感染部位で増加するalpha-1-酸性糖タンパク質(AGP)と一酸化窒素(NO)に着目し、両者が反応すると強力な抗菌物質として機能することを突き止めた。また、NOが反応したAGPの抗菌作用は、これまでに報告されているNO関連抗菌物質の中で最も強力であり、グラム陽性菌やグラム陰性菌に対して、幅広い抗菌効果を示すことも明らかとなった。興味深いことに、多剤耐性菌に対しても有効であった。今回の知見は、AGPがNOにより修飾されることにより、新たに抗菌作用を獲得することを明らかにするとともに、NO修飾AGPの開発が医療現場で深刻化している感染症問題の解決の一助につながることを示すものである。今後の研究の進展によって新しいタイプの抗菌薬の開発が大いに期待されるところである。

本研究成果は、米国科学雑誌『The FASEB Journal』オンライン版(10月9日付け)に掲載された。

 

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