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ホーム  研究  メンバー  発表論文等  熊本大学薬学部/大学院薬学教育部  熊本大学

 研究

     生命現象は、生体分子と生理活性分子間の相互作用や生体内反応が基本となっています。本研究講座はタンパク質をはじめとする生体高分子の立体構造に基づき、生体内相互作用や反応を原子レベルで調べ、生命の仕組みの本質を明らかにすること並びに創薬への応用を目的に研究を行っています。タンパク質の立体構造決定には、X線結晶構造解析法を基本技術として用い、ゲノム安定性、免疫、細胞シグナル伝達、創薬・疾患に関わるタンパク質を対象とした構造生物学的研究を行っています。これまでに、これらタンパク質の立体構造を決定し、生化学的、物理化学的機能解析も行うことで、タンパク質の働く仕組みを原子レベルで解明するとともに創薬への基礎的知見を得ています。

 ゲノム安定性維持機構の研究

     ゲノムDNAは生命の遺伝情報をコードするという非常に重要な役割を担っていますが、活性酸素や紫外線などにより容易に損傷を受けます。私たち生物にはこのようなDNAに生じた損傷を修復する酵素や回避する酵素が備わっています。本研究では、DNA修復やDNA損傷回避に関わる酵素群の構造生物学的研究を行い、これら酵素群がどのようにしてDNA損傷を修復、回避してゲノム安定性を維持しているのかを解明することを目的としています。

 細胞シグナル伝達機構の研究

     私たち生物の恒常性を担う生命現象は、細胞シグナル伝達により制御されており、ヒトにおけるこれら伝達経路の異常は、重篤な疾患の原因となります。本研究では、タンパク質のリン酸化やユビキチン化などの修飾によって厳密かつ複雑に制御されているシグナル伝達機構を構造生物学的に解明することを目的としています。

 免疫タンパク質の研究

     免疫に関わるB細胞やT細胞上では、細胞外に放出されたリガンドタンパク質や他の細胞上に発現しているリガンド/受容体との結合の結果、免疫反応に重要な細胞内シグナルが発生します。本研究は、免疫タンパク質であるサイトカイン/サイトカイン受容体の認識機構を構造生物学的に解明することを目的としています。

 創薬の基盤としての研究

     上述したタンパク質の構造生物学的研究は、生体分子に作用する薬物設計に有用な知見を与え、タンパク質の機能の改変や効率化の基礎となります。本研究では、立体構造を決定したタンパク質をターゲットとした阻害剤設計やそれらタンパク質の機能改変、高機能化への応用を目指しています。