熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

ミカン科
Rutaceae
ナツミカン
Citrus natsudaidai Hayata
別名
ナツダイダイ
ナツミカン
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  • ナツミカン
  • ナツミカン
英名
natsudaidai orange, Japanese summer orange
中国名
No Information
花期
4~5月
生薬名
①枳実(キジツ)【局】,②夏皮(ナツカワ),③枳殻(キコク)
薬用部位

①未熟果実,②成熟果皮,③成熟果実

成分

①,②ともにモノテルペン((+)-limonene),フラボノイド(naringin, neohesperidin),トリテルペン(limonin)

化学構造式

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  • ナツミカン 化学構造式1
  • ナツミカン 化学構造式2
  • ナツミカン 化学構造式3
  • ナツミカン 化学構造式4
産地と分布

山口県長門市青海の青海島に漂着したブンタン系の柑橘の種子から起源したとされる.各地で栽培される.

植物解説

常緑小高木.樹高3~5 m.枝葉広く広がる.花は厚く楕円形で鈍頭.こずえの葉腋に白色の花を付け,強い香りがある.果実は扁球形で大きく,皮は厚く,いぼが多く,秋に熟する.

薬効と用途

未熟果実はダイダイ(C. aurantium)などとともに日本薬局方における生薬枳実の基原植物.健胃作用があり,食欲不振,飲食停滞による腹部膨満感,消化不良などに用いる.成熟果実も似た用途で用いる.成熟果皮は生薬橙皮の代用として,芳香性健胃薬として利用する.また,寒い冬に風呂に入れると湯冷めしないとされる.冬に限らず,血行を良くして疲労回復に良い.

生食するほか,ジュースやマーマレードの原料,砂糖漬けなどにする.現在は大分県で発見された枝変わり品種のカワノナツダイダイ(甘夏)が多く栽培されている.

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