熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

バラ科
Rosaceae
モモ
Amygdalus persica L.
モモ
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  • モモ
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英名
peach
中国名
花期
3~4月
生薬名
①桃仁(トウニン)【局】,②桃葉(トウヨウ),③白桃花(ハクトウカ)
薬用部位

①種子,②葉,③花または蕾

成分

①に青酸配糖体(amygdalin, prunasin),脂肪油

化学構造式

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  • モモ 化学構造式1
  • モモ 化学構造式2
産地と分布

中国北部黄河上流地帯の原産.現在は果樹として広く栽培される.

植物解説

落葉低木~高木.樹高3 m内外.枝は無毛で若時には粘り気がある.葉は互生し,短柄があり,披針形か広披針形で長さ8~15 cm,前鋭尖頭で全縁.出葉前に白色から淡紅色の5弁花を付ける.核果は有毛で初夏に熟する.

薬効と用途

種子は駆瘀血(血の滞りを除く)作用があり,婦人科系の諸症状に用いる.また,神経痛,乾燥性の便秘,打撲傷やそれに伴う内出血,疼痛などにも用いる.漢方処方は桂枝茯苓丸,桃核承気湯,潤腸湯などに配合される.葉は日本では浴湯料としてよく知られ,刻んだ葉を風呂に入れて夏場のあせもや湿疹,かぶれなどに用いる.頭のふけには煎液で洗う.花や蕾は便秘の緩下剤として用いられるが,作用が強いため虚弱者や妊婦は気を付ける.
果肉は色によって黄桃系と白桃系に大別される.黄桃は缶詰用にされ,白桃は生食する.
中国では桃の花の咲き乱れる桃源郷を理想とすることや,モモの強い生命力から邪気を払う魔よけの作用があるとされた.日本でも桃の節句に花を飾り,魔除けに桃酒を飲む風習がある.

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