熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

ウマノスズクサ科
Aristolochiaceae
ウスバサイシン
Asarum sieboldii Miq.
別名
サイシン、ニホンサイシン,カワリウスバサイシン
ウスバサイシン
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  • ウスバサイシン
英名
Siebold’s wild ginger
中国名
薄葉細辛
花期
3~4月
生薬名
細辛(サイシン)【局】
薬用部位

根および根茎

成分

フェニルプロパノイド(methyleugenol),モノテルペン(α-, β-pinene, asarinol A),リグナン((-)-asarinin),アルカロイド(higenamine)

化学構造式

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  • ウスバサイシン 化学構造式1
  • ウスバサイシン 化学構造式2
  • ウスバサイシン 化学構造式3
  • ウスバサイシン 化学構造式4
産地と分布

本州,九州,朝鮮,中国に分布し,山林の樹陰に生える.

植物解説

多年草.根茎は多節,節間は短い.葉は通常2個根生し,心形か腎心形で幅は5~10 cm,両面に短毛があり多くは急鋭頭,全縁.開葉前に葉間に無花弁で暗紫色のつぼ状の花を単生する.

薬効と用途

去寒,鎮痛,鎮咳,去痰,解熱,鎮静作用がある.漢方処方では,小青龍湯,麻黄附子細辛湯などに配合される.

2017年発効の世界アンチ・ドーピング規定「禁止表国際基準」に明記されたアルカロイドのヒゲナミンは,本種の根にも含まれる.そのため、ヒゲナミンが含有することを知らずに本種が配合された漢方処方等を服用することで規定違反になる可能性がある。
ウスバサイシンが属するカンアオイ属は,日本に多くの種が分布する.古典園芸植物として葉の模様,花の色や形が珍重され,現在でも高値で取引されるものがある.そのため,絶滅が危惧されている種も多い.

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