熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

イネ科
Poaceae
イネ
Oryza sativa L.
イネ
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  • イネ
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英名
rice-plant
中国名
花期
9月
生薬名
①粳米(コウベイ)【局】,②穀芽(コクガ),③糯稲根鬚(ジュトウコンシ)④稲草(トウソウ),⑤膠飴(コウイ)【局】
薬用部位

①えい果,②もみ殻をつけたまま発芽させたもの,③もち米の根および根茎,④茎葉,⑤デンプンまたは種子を加水分解し糖化したもの

成分

①にビタミン B1,タンニン(gallic acid, protocatechuic acid, catechin),デンプン

化学構造式

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  • イネ 化学構造式1
  • イネ 化学構造式2
  • イネ 化学構造式3
産地と分布

東南アジアに分布する野生種から起源したとされる栽培種.日本をはじめ世界の温帯熱帯にかけて栽培される.

植物解説

一年草.草丈は50~100 cm.茎は多数分けつして直立し,数節があり中空.葉は節に互生し,広線形か線形で長さ30~60 cm,扁平で漸尖頭,長い葉鞘がある.円錐花序は多数の小穂からなり,小穂は狭卵形から楕円形で1花からなる.

薬効と用途

えい果(うるち米の種子)は漢方で健胃,補気,止渇の目的で使用され,炎症を鎮め口渇を治す,胃の働きを良くして強壮をはかるなどの作用がある.漢方処方では,麦門冬湯,白虎湯などに配合されている.また,もみを付けたままの種子を発芽させたものは消化促進,食欲減退などに,茎葉は消化不良,下痢,腹痛,糖尿病に,もち米の根と根茎は病後の衰弱,寝汗,口渇,微熱などに用いる.デンプンや種子を加水分解し,糖化した膠飴は,健胃,強壮作用があり,小建中湯や大建中湯などの処方に配合される.
紀元前4000~3500年頃,東南アジア,南アジアに広く分布するOryza perennisを祖先として栽培が始まった.トウモロコシ,コムギとともに世界三大穀物の一つである.食用のほかに,紫イネとよばれる紅紫色の葉の園芸品種がある.

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