宮本記念館玄関ホール 陶壁[薬草の森]の作家前田和氏をご紹介します。
前田 和 氏  (1944年熊本市生まれ,熊大教育学部卒)
 人類が他の動物と比べ大きく異なっていることは、想像力を持っていることである。原始社会から今日に至るまでの文明の発達も、彼らの想像力を除いては考えられない。そのことは大なり小なりの文明の蓄積がそのときとともに高度の文化を築き上げてきたものといえる。
 私はこれらのことを念頭に、物を造っていく考えです。
(氏のホームページより転記)
★蒼土窯ホームページアドレス http://www3.ocn.ne.jp/~sodogama/
野山に自生する草花を自然にあるがままに粘土に押しつけ、素焼をし、生地の中の草花の僅かな凹凸の跡に釉薬をつけ、1300℃の高温で焼いた焼き物。9つの行程を要する。
〒869-3173 熊本県宇土市下網田町380
TEL (0964)27-1707
FAX (0964)27-1166
STUDIO (0964)27-0777
  • 名古屋市 河合塾 陶壁 (1m×12m)  1981年製作
  • ニューヨーク・マンハッタン レストラン「EAST」本部陶画 (1.6m×5.4m) 1982年製作
  • 宇土市立網田小学校玄関 陶壁 (2.7m×4m)  1983年製作
  • 熊本市 博愛会病院 陶壁   1983年製作
  • 名古屋市 覚王山日泰寺霊堂 陶壁 (9m×10m)  1983年製作
  • 東京都大田区 密乗院 露地塀 (1.6mX5.4m)1987年製作
  • 東京都文京区 お茶の水女子大学付属小学校図書館 陶壁 (4m×8m)1988年製作
  • 熊本市 冨士工業株式会社ビル 外壁 (6.2m×6.5m)  1989年製作
  • 宇土市網田町 長福寺 薬師堂 製作  (粘土9t使用) 1990年製作
  • 熊本市 天明コミュニティセンター 陶壁 (3m×6m) 1991年製作
  • 熊本市 県立劇場「文政三年棒踊り 舞台装置一式」  1991年製作
  • ペルー  フジモリ大統領来熊記念に熊本県知事進呈の陶額   1992年製作
  • 熊本県八代市 保元内科医院 玄関内回り陶壁  1992年製作
  • 豊田市 南山国際高等学校・中学校 「小島講堂」陶壁  1993年製作
  • 東京都新宿区 Gowa西新宿ビル 陶壁  1993年製作
  • 豊田市小島プレス工業(株)玄関陶壁(3.5m×6.4m),食堂陶壁(3.2m×5.8m) 1994年製作
  • 東京都港区白金台 新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)玄関陶壁  1995年製作
  • 熊本県宇土市 船場橋欄干 (1.2m×9m)  1995年製作
  • 愛知県・トヨタ車体(株) 本社玄関陶壁 (2m×5m)  1995年製作
  • 熊本県立運動公園 陶板21枚  1998年製作
  • 宮崎市 宮崎県総合博物館西門 (タテ2m×ヨコ5m×2)  1998年製作
  • ・横浜市 磯子区総合庁舎ホワイエ陶壁 (1.5m×6m)  1999年製作
  • 熊本県 東稜高校玄関陶壁 (1.35m×5.5m)  2000年製作
  • 宇土市 高木邸 玄関回り外壁一式  2000年製作
  • 熊本県蘇陽町 馬見原小学校玄関 陶壁 (2.85m×3.8m)  2001年製作
  • 大阪市 株式会社サンセイテクノス本社役員室 陶壁 (1.5m×3.5m) 2002年製作
  • 宇土市 サンワ住研ビル2階入口 陶壁 (1.2m×1.3m)  2002年製作
  • 宇土市 熊本県立宇土高等学校玄関 陶壁 (0.65m×1.6m)  2003年製作
  • 熊本市 熊本大学薬学部宮本記念館玄関ホール 陶壁 (2.5m×3.7m)  2004年製作
  • 大阪市 大阪染色協会エントランス 陶壁 (12mX0.9m)  2005年製作
  • 熊本県 南阿蘇野草園 「皇后美智子さまご下賜のハナシノブ」の記念碑   2005年製作
↑ クリックで拡大(別ウィンドウが開きます)
 「薬草の森」は, 2004年6月,本学の薬用植物園から採取したドクダミ,ヒゴショウブ,ミント,ミョウガ,シュロカヤツリ,アジサイ,ナンテン,ヨウシュヤマゴボウ,アイラトビカズラ,ムベの10種の薬用植物を柔らかい粘土に自然にあるがままに押し付けて,葉の葉脈一本一本,花びら一枚一枚,根一本一本まで形を取り,素焼きをした後に,植物のわずかな凹凸に彩色し,高温で焼いて作製した草木捺彩陶である.何度見ても何度触れても心が落ち着く,芸術としての素晴らしさだけでなく,薬として根まで活用することが多い薬用植物らしさも同時に表現され,科学と芸術が融合した逸品になっている.薬のミュージアムと美術展示の二つの機能を有する本同窓会館の玄関に極めて相応しい作品である.
 「薬草の森」の中のアイラトビカズラ(学名:Mucuna sempervirens)は,国内では唯一,熊本県菊鹿町相良(樹齢1000年以上,毎年花を咲かせる,天然記念物)に自生する大変貴重なマメ科植物である.5月連休明けに太い枝から直接花序を出し10~20個の黒紫色の房状の暗紫色の花をつける。アイラトビカズラは日本では結実しない植物であったが,1962年に薬草園担当の濱田善利先生(熊薬昭和37年卒)が開花中に植物ホルモンで処理し,結実させることに初めて成功し,その種子から発芽させ,熊薬の薬用植物園に自生させた.薬用植物園にて実物を観察できる.