抗癌剤ドキソルビシンによる耐性化は、臨床において癌治療を困難にすることから問題視されています。今回の検討では、ヒトのドキソルビシン耐性化癌細胞を用いることで、in vitroとin vivoの両面から、その耐性を克服する作用をPoly-SNO-HSA(アルブミンに一酸化窒素NOが多分子結合している担体)が有していることを証明しています。そのメカニズムは、Poly-SNO-HSAがHIF-1αの発現を抑えるを介して、p-糖タンパク質(ドキソルビシンを細胞外に排出するトランスポーター)の発現を抑制し、ドキソルビシンが従来通りに癌細胞に蓄積させるというものです。今後、耐性化した難治性の癌治療への新たな新薬として開発されることが望まれます。