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1,2-ジアミン系化合物の汎用性の高い合成法の開発2-アミノアルコールと同様に、1,2-ジアミン構造もさまざまな生理活性物質にふくまれます。もちろん、医薬品にも含まれていて、インフルエンザ治療薬のタミフルやリレンザも、1,2-ジアミン です。![]() 合成も、さまざまなトライアルがあるのですが、2-アミノアルコールからの変換(OH→NH2)を含めて、汎用性の高いものはあまりありません。官能基が両方ともアミノ基ですから、非対称のものを合成しようとすると、左右を区別することが必要となります。 ![]() 我々は、2-アミノアルコールを2-オキサゾロンから合成したように、2-イミダゾロンから1,2-ジアミン類を合成する汎用性の高い合成戦略を計画しました。エチレンジアミンに側鎖をつけていく、わけですが、上記のように二つの窒素原子を明確に区別する必要がありますので、いろいろと検討しました(今でも検討しているところですが)。 ![]() 詳細は省略しますが、2-イミダゾロンの4,5位二重結合部位にメトキシ基を導入すると、そのメトキシ基の有機銅反応剤による置換反応は立体保持で進行するだけでなく、N上のアシル基の有無により反応性が制御できることが分かりました。 N上にアシル基のある側のメトキシ基は反応しないわけなのですが、ジアシル体(両方のNにアシル基がついているものです)から片方のアシル基だけをはずす事は案外簡単に出来ることがわかり、モノNアシルジメトキシ-2-イミダゾリジノン(上図の黄色でハイライトしているもの)がキラル合成子として極めて有用であることを明らかにしつつあります。 反応性置換基は左右ともにメトキシ基であり、それらの置換反応も有機銅反応剤、と同じものであるにも関わらず段階的に行えるために、左右非対称(R1≠R2)の1,2-ジアミン類も合成することが可能である本方法論は極めて汎用性が高く、医薬品開発段階での構造活性相関研究などで膨大な数の類似化合物を合成することが必要な時などに有用であることが期待されます。 ![]() 尚、1,2-ジアミンのアミノ基を水酸基に変換すれば、2-アミノアルコールや1,2-ジオールになるわけで、これらも含めて高い汎用性を持っていると言えるのではないかと考えています。 水酸基→アミノ基 という変換は有機合成ではよく行うものですが、逆の アミノ基→水酸基 というのはそれほど容易ではなく、報告例も多いわけではありません。まだあまり効率良い方法があるとは言えない状況ですので、我々はこれにチャレンジし、2-イミダゾロンを原料として、1,2-ジアミンだけでなく、2-アミノアルコール、1,2-ジオールの不斉合成に結びつけようと現在検討しているところです。 |