![]() |
![]() |
![]() |
2-アミノアルコール系化合物の汎用性の高い合成法の開発2-アミノアルコール構造は、生理活性物質・医薬品類などに非常に多く含まれるものであり、さまざまな合成法が研究されています。ほとんどのものが、酸素含有パートと窒素含有パートのカップリングによるものであり、さまざまな構造のものを合成しようとすると、出発原料・反応条件をその都度変えなくてはならず、汎用性、という点で問題がありました。我々は、すべてに共通な“2-アミノエタノール”骨格に側鎖置換基をつけていく、というコンセプトで、汎用性の極めて高い合成戦略として、下図のような2-オキサゾロンを原料としたものを考案し実現しました。 ![]() この方法論では、R1とR2がトランス位(スレオ体と言います)についたものが合成されるのですが、水酸基の立体配置の反転を行うことにより、シス体(エリスロ体)に容易に変換することが出来ます。すなわち、スレオ体の2種の鏡像異性体(エナンチオマー)を作りわければ、4種の光学異性体全てを作りわけたことになるわけです。 そのために最も重要なステップは、反応性置換基X,Yの導入です。ここで、光学異性体を作りわけるために、N上に光学活性基R*を導入して4,5位2重結合部位への付加反応をジアステレオ選択的に行いました。 ![]() カンファー由来のケトピン酸という化合物を化学変換することにより2-アルコキシアポカンファンカルボン酸類を開発し利用したところ、2重結合への付加反応が知られている臭素とセレン化合物で全く逆の立体選択性が現れることを見出しました。 上図のように、臭素付加体とフェニルセレン(PhSe)付加体は立体配置としてはジアステレオマーの関係にありますが、同様の反応で共にアリル置換体と変換出来、2-アルコキシアポカンファンカルボニル基を除去することにより(4S,5S)体と(4R,5R)体のエナンチオマーを、それぞれ光学的に純粋な形で得る事が可能になります。 これらのエナンチオマーを合成子として、さまざまな2-アミノアルコール類を合成しました。下図に、その一部を示します。2-オキサゾロンを原料として類似の反応を用いることにより実に多様な構造の2-アミノアルコール類が合成できることが分かります。 ![]() 医薬品開発研究における構造活性相関調査の際には、さまざまな側鎖構造を持つ類縁化合物の合成が必要になるわけですが、ここに示したような汎用性の高い方法論は利用価値の高いものであると考えております。 |