熊薬ミュージアム内に展示されている貴重な古文書をご紹介します。
64  生生堂医譚

中神琴渓(なかがみきんけい 1744~1833)の口授、門人の伊藤王佐(いとうおうすけ)の筆述になる医論集。 不分巻1冊。 寛政7(1795)年刊。 和文。 医書・医薬理論・診法・治法など、14項目にわたり琴渓の自論が収められている。 琴渓は近江国栗太郡南山田村の農家に生誕。 大津の医家中神氏の養子になったとされるが、異説もある。 名は孚(まこと)、字は以隣(いりん)、通称右内(うない)。 堂号は生生堂(せいせいどう)。 20歳代後半ごろに中根之紀の門に入って学び、最晩年の吉益東洞に師事して古医方を習得した。 大津に住し、宿場女郎の梅毒治療に腕をふるい、その後、京都で開業、江戸や諸国を遊歴したのち、晩年は山城国相楽郡に隠居、自適の生活を送った。