熊薬ミュージアム内に展示されている貴重な古文書をご紹介します。
27  櫟窓多紀著

『庖厨備用倭名本草(ほうちゅうびようわみょうほんぞう)』。 向井元升(むかいげんしょう 1609~1677)の著になる本草書。 全13巻。 寛文11(1671)年自序。 貞享元(1684)年刊。 461品目につき解説した日本における総合食物本草の先駆書。 李東垣(りとうえん)に托名される『食物本草』、李時珍(りじちん)の『本草綱目』(ほんぞうこうもく)、源順(みなもとのしたごう)の『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう)、林羅山の『多識篇』(たしきへん)などを参考にし、民間伝承の知識を多く取り込んで記述されている。 「庖厨」とは台所の意。 元升は肥前神崎郡の人。 次男は俳人として知られる向井去来。