熊薬ミュージアム内に展示されている貴重な古文書をご紹介します。
11  建殊録

吉益東洞(よしますとうどう 1702~1773)の治験記録を門人の巖渓恭(いわたにたかし)がまとめ、田中栄信(たなかひでのぶ)が校閲した書。 不分巻1冊。 宝暦13(1763)年刊。 東洞は万病一毒説を唱え、江戸中後期の日本医界を風靡した古方派の筆頭人物。 天命説を唱えて攻撃的治療法を行った。 本書はその東洞の臨床の実際を記したもので、53の症例を収録。 特に古方処方と兼用丸散剤方の具体的使用例を示す好資料。 嗣子南涯(なんがい)の『続建殊録』もある。