熊薬ミュージアム内に展示されている貴重な古文書をご紹介します。
10  薬徴 上・中・下

吉益東洞(よしますとうどう 1702~1773)の著になる薬物書。 全3巻3冊。 明和8(1771)年自序。 天明5(1785)年刊。 文化9(1812)・文政11(1828)年後印本もある。 本書は東洞の代表作の一つで、『傷寒論』、『金匱要略』で用いられる主要薬物について、両書の条文からその薬能を帰納し考定したもの。 上巻には石膏を筆頭に9種、中巻には24種、下巻には20種、計53種の薬物を収載。 それぞれ、主治・旁治・考徴・互考・弁誤・品考の項目に解説する。 従来の伝統本草の枠を全く脱却した革新的な薬物書として当時の医界に迎えられ、現代の漢方にまで強い影響を及ぼしている。