• 受験生の方へ
  • 学部・大学院
  • 教育
  • 研究
  • 教員紹介
  • キャンパス
  • 薬学部
  • 大学院薬学教育部
  • HOME
  • 今月の薬用植物

今月の薬用植物

2014年5月

ヒヨス (Hyoscyamus niger L.)
ナス科(Solanaceae)

 

第13回薬用植物を知ろうin熊本(阿蘇、10/4、5)、参加者募集中!!
「詳しくは下のイベントコーナー、ポスター(注目)をご覧下さい」



 大変遅くなりました。ようやく替える気になり、5/8になってしまいました。
 日本眼科学会年会(4月初め)に展示用の生薬を貸したら、学会が終わって一ヶ月以上経つのに、生薬が帰ってきませんでした。始まる前は展示に間に合わないので急ぐと言われて送りましたがこのありさまです。無責任な学会もあるものだと、大変良い勉強になりました。

 愚痴はこのぐらいにして、今月は、眼科領域で眼底検査等の時に、瞳孔を広げるのに用いるアトロピン(ヒオスチアミン)を含む「有毒植物」、ナス科の『ヒヨス』を紹介します。
 葉を乾燥したものを「ヒヨス葉」といい、鎮痛、鎮痙、鎮静、散瞳に用います。また種子を乾燥したものを「ロート子」といい、同じように用います。ユナニおよびアーユルヴェーダでは、葉および花を鎮静、鎮痙、散瞳薬として用います。

 成分は、トロパンアルカロイドの (-)-hyoscyamine (d&l 体:atropine)、(-)-scopolamineなどです。医薬品としては精製したアトロピンは、副交感神経抑制作用を示し、瞳孔の散瞳、リン系農薬の中毒の解毒などに用いられます。サリン事件の時にも用いられた経緯があります。
 ネパールのヒマラヤの標高3000m位の山村の家の横に生えているのを見かけたことがあります。有毒なので家畜も食べません。

 日本にもアトロピンを含む植物があります。身近かな野生種ではハシリドコロ(鹿が食べないので山で増えています)、栽培種ではダツラ(トランペットツリー、曼荼羅)が知られています。ダツラ類は園芸店で売っています。触る、植物を抜く等は大丈夫ですが、触った手を「口に入れる」、触った手で「目をこする」ことは絶対にしないで下さい。

 江戸時代、華岡青洲が奥さんの乳がんの手術をするための麻酔でダツラの種子を使いました。手術は成功しましたが、失明した経緯があります。
ダツラのように美しい花は「愛でる(めでる)」だけにして下さい。

 今年も誤食による食中毒が報告されています。山菜採りをする時は、食べてよいものをキチンと取り、分かったものだけを食べるようにして下さい。疑問に思うものを安易に食ると、誤食による食中毒で、多くの方に迷惑をかけることになります

ご自由にご利用ください!
  2014年  5月カレンダー ミャンマーの夕日

   2014年  6月カレンダー ミャンマーの夕日#2

写真(薬用植物園、2014年5月5日)
(資料,写真・文章責任: 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野)
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種)
                       (変更日:2014.5.8)

, from 8, May, 2004
PAGE TOP