2014年4月
ビャクダン (Santalum album L.)
ビャクダン科(Santalaceae)
「北門の 紅シダレ咲く 入学式」河童
入学おめでとうございます。
1年生の皆さんには、4/2にガイダンスでお目にかかった矢原です。
専門として,薬用植物学・生薬学、それに臨床生薬学(漢方薬学)、環境などの研究をしています。
今月の薬用植物は、ミャンマーで出会った『ビャクダン(白檀)』です。初めて花、実をミャンマーで観ました。約5mmの小さな花で、濃い紫色であまり目立ちません。実も約1cmの楕円形で熟れると黒くなります。どちらも目立ちません。しかし、材は香りが良いので、お香、アロマセラピー等に用いられています。
材を「サンダルウッド」と言い大変高価です。その精油は、鎮静効果、消炎作用、利尿作用、免疫機能向上、抗菌作用等を有することが知られています。精油には抗マラリア原虫作用が有るとも言われています。
精油に入っている良い香りの成分は、Z-α-サンタロール、Z-β-サンタロール、Z-α-サンタラール等のセスキテルペン(炭素数15個のテルペノイド)です。しかし強い油臭で臭いの良くない成分も微量ですが含まれています。E-α-サンタラール、E-α-サンタレニン フォルメイト等です。二重結合がEタイプになると香りが悪くなるようです。
二重結合の立体配置がE, Zと違うだけで、香りが違うというのも面白いなと思いますね。人の性格と同じですね。
3/30(日)、日本薬学会年会の一環としての市民公開講座で「伝統薬からiPS細胞」の話をさせていただくために勉強しました。どう考えても、植物は全ての細胞からクローン(iPS細胞)が出来るのが、なぜか分かりませんでした。これから遺伝子等々が明らかになってくるのでしょう。ただ、私が勝手に思ったのは、植物は動けない分、全ての細胞がiPS細胞であるという、すごい能力を身につけたのではと感じました。
植物は人を生かしています。植物の中には人が生きていくための、多くの可能性が秘められています。若い皆さん興味を持って研究し、新しいことを発見して下さい。多くの失敗をしながら、1/1000の発見(999個の失敗と一個の発見)をすることは、プチ楽しいことです。植物は動物を生かしていることを解明することも楽しいです!
私も、新入生に負けないように、プチプチ楽しいことを、プラントハントしながら世界中に探しに出かけてみます。これからも宜しく!!
薬用資源エコフロンティアセンター(薬用植物園)に、新入生と同じ年の「山本君」が技術職員で入りました。先輩の渡辺君と技術職員2人体制です。園にきて見かけたら挨拶してやって下さい。宜しくお願いします。
また、ネパールからの留学生の「ハリ デブコタ君」は、教員(特任助教)になりました。これからも一層よろしくお願いします!!
ご自由にご利用ください!
"2014年 4月カレンダー アイラトビカズラ"
写真(花:ミャンマー、2014年3月)
(資料,写真・文章責任: 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野)
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種)
(変更日:2014.4.7)