熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2011年10月

カイソウ(Urginea maritimam Baker)
ユリ科(Liliaceae)



 9月23〜25日、生薬学会で東京に行ってきました。星薬科大学の薬用植物園を久しぶりに見学させていただきました。2m近いツルボに似た大きな花があります。 ラベル無し、聞くと有毒植物のラベルは抜いてあるとか。
 生薬「"海葱(かいそう)」の花"です。ユリ科ですので、9月中旬、ヒガンバナと一緒に畑の畦で咲いていた"ツルボ"にそっくりです。 鱗茎を薬用として用いますが、強心配糖体(scillaren A等)を含むので、使い方を間違えると死に至る有毒植物です。 強心利尿作用が認められていますが、分量の調整が難しく、ジギタリス同様、薬用で用いることはほとんどありません。  たまに、園芸品店で売られていますが、有毒植物と分かっている人は少ないのではないかと思います。
 原産地は地中海で、鱗茎の大きさは2kg位になるタマネギに似た多年草です。英語名が「sea onion」と呼ばれ、 海のネギ、海葱(かいそう)となったようです。
 紀元前からエジプト、ギリシャで、利尿、強心、去痰などを目的に薬用植物として利用されましたが、 毒性が強く殺鼠剤としても利用されていました。

 園芸植物の中には多くの有毒植物があります。花を愛でる、観るだけにして、花を食べてみようなどとは思わないで下さい。 昨今、何でも食べてやろうという人がいますが、自己責任でお願いします。

 私どもの薬用植物園にもあるのですが、残念ながら花が咲きません。再度花が咲く鱗茎を導入し、開花にトライしたいと思っています。

 8/27〜9/11(実質は8/28〜9/10)、南緯9度の島国、ソロモン諸島へ出かけてきました。ソロモン諸島の首都Honiaraのあるガダルカナル島では約2万人の方が戦死しています。飛行場は第二次大戦の時に日本軍が作ったもので、今でも大変良い飛行場だと言われHoniara国際空港として使われてういます。
 今回は高知工科大学の友人が有用植物調査を行っていますので、その調査に同行し、共同研究の下地を作ってきました。
 日本大使館、JICA事務所などにも伺うことが出来ました。日本大使館には"仏壇"があります。平和の礎となった人達の冥福を祈り、自分が生まれ、生きていることに感謝し、手を合わせてきました。
 これまでに見たことのない多くの植物に出会いました。また、猛獣がいないので、自然の変化を観ながら、最も怖いのは人間だということを再確認した時間でした。
 海で"カワセミ"(写真撮影)が魚を捕り、たまに海にワニがいる(聞いただけ)など、生き物の対応能力を感じました。
これを機会にソロモンの有用植物の発見・開発に少しでも貢献できればと思っています。

★11月5日は、"大学祭(薬学部蕃滋祭)"に合わせて、月例89回薬用植物園薬用植物観察会を行います。お時間を作っておいで下さい。(11時〜13時 観察会、14時〜紫雲膏作り ★


ご自由にご利用ください!
"2011年10月カレンダー ゴバンノアシ"
"2011年10月カレンダー 海のカワセミ"
"2011年10月カレンダー ソロモンの孤島"

写真(2011年9月星薬科大学で 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2011.10.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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